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"Life is better with Londboard"
5月から今月の頭まで3度カリフォルニアに行ってきました。月をまたいで滞在したので実際には5月から9月まで毎月カリフォルニアにいたことになります。
シーコングを始めてから25年が経ちますが、今年のように夏の間の短期間中に3度も行ったのは初めてです。
初めての経験は私の中に新しい感傷をもたらせてくれました。
6月の終わり頃、アレックスノストと朝食に行ったカフェの軒下の看板にこんなフレーズが書かれていました。
"Life is better with Londboard"・・・ロングボードのある暮らしは素晴らしい・・・・
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一般的にサザンカリフォルニアは地理的に夏の方が波がいいとされ、サーファーたちの生活は海一色となります。
以前であれば、ロビン、アレックス達は、何はともあれ「サーフィン行こう」と、いつ何時もビーチに繰り出していたのですが、今年の夏は気温が高く日本同様にオンショアに見舞われていたためもあってか、彼らのモチベーションはそれほど上がっていませんでした。
しかし私的には単にコンディションのためだけではなく、彼らの年齢が上がり、「そんなに必死になって海に行かなくてもいいだろ」と思っているように感じます。
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カリフォルニアにおいてサーファーとは”ルーザーズカルチャー”と言われています。
直訳すると”負け犬文化”となるわけですが、負け犬というよりも、ドロップアウトした者たちが集う文化とでもいう感じです。
しかし本当に世間から落ちこぼれたわけではなく、むしろ自ら現代社会に背を向けたり、また落ちこぼれた者であるかのように振舞っているというのが現実ではないでしょうか。
つまり”サーファー”というだけで、世間から寛容(半ばあきらめ的)に見られる文化があるのです。
「そんなに一生懸命になるなよ、息が詰まってしまうだろ」
「そんなに急がなくてもいいじゃん、もっと気楽に行こうぜ」
そういった意味で、彼らは年齢を重ねることによって真のサーファーに近づいていき、世間の寛容の恩恵を受けるのです。
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日本において「なぜロングボードを選ぶのか?」と聞けば、”体力が落ちた”、”海が混雑している”、”小波が多い”、そんな環境の中でも『たくさんの波に乗りたいから』というのが大きな理由だと思います。
とにかく重視されているのは、数多く簡単に波に乗ることです。
しかし、海外においてはその理由は大きく異なります。
彼らは”波が小さい”からロングボードに乗っているわけではありません。日本と比較すれば波のコンディションは断然いいのですから。
ではなぜロングボードを選ぶのかというと、「ロングボードで波に乗るというフィーリングは、短いボードでは味わえない」からです。
ロングボードだけがその自重と大きさによってボードの上に人を乗せても波の上を滑っていくことができるのです。
だから、そもそもロングボードと短いボードの性能を比較してなんかいないんです。ショートボードのように操作しようとも考えていません。
シャカリキになっていい波を求めなくても、体力が落ちても、ロングボードがあればいつだって波の上を滑ることができる、だからロングボードを選ぶのです。
・・・ロングボードがあれば、海に行きたい気持ちになる
・・・ロングボードがあれば、海を感じることができる
・・・ロングボードがあれば、どこかに遠出したい気分になる
それがサーフィンライフ=ロングボードライフ、ということです。
25年間の間、数えきれないくらいカリフォルニアに行き、そのたびに海外と日本のサーフィン文化の違いを感じてきました。
もっとも、海外のサーフィン文化が優れていて、日本のサーフィン文化が劣っているということではありません。
ただサーファーというだけで、これだけ世間が寛容的に見てくれて、自由でいられるということが少々羨ましいと感じていましたのは確かです。
この夏、何度もカリフォルニアに足を運び、「ルーザーズカルチャー」、「ロングボードを選ぶ理由」、そして「ロングボードがある暮らし」の3つが、あのぶら下げられていた看板によって結び付けられた感じがするのです。
Life is better with Longboard! (ライフ ・イズ・ベター・ウィズ・ロングボード)
シーコングはこの精神をお伝えしていければと思っています。
シーコング
田中