シーコング店長ブログ

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ロビンキーガル、

田中です。

 

 

伝統音楽セファラディックが大音響で響き渡る暗闇の中。


ここはアフリカ大陸モロッコの北端タンジールの旧市街の先にある地元民御用達のキャバレー。


ロビンキーガルはその生い立ちが複雑な故に、常日頃から自分のルーツを追った行動をしている。


遠く離れた東洋人である日本人には到底理解できないような、複雑な西欧、中東、スラブ社会の民族と宗教の歴史。


その幾何学模様のような歴史の系譜は、移民国家であるアメリカ合衆国のカリフォルニアで生まれ育った彼の内面にも少なからず影響を与えているだろう。


混沌とした空間の中、古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスのことから話し始めたロビンキーガルは、この場所が第二次世界大戦中の同じモロッコのカサブランカと同じように世界中から訳あって集まって来た者たちによって情報の坩堝となっているということを話し始めた。


その理由は、帽子を深くかぶり隣に座っていた筋骨隆々とした体躯と鋭い眼光を持ちながらも背後に気配を感じるや否や、おびえたように振り返る若者の存在にあった。


ロビンは気安く声をかけたが、その若者は言葉が通じないのか、または話をする意思がないのかわからないが、完全に空気を閉ざしていた。


「あいつはおそらくロシアの兵隊だ。まるでさっきまで人殺しをしていたような雰囲気だ。ここモロッコは古代から宗教や人種の錯綜する地域で、だからこそユダヤ教に起源をもつこのセファラディックという音楽が根付いている・・・」と私の耳元で言った。

 



ロビンキーガルはシェーパーとしてはかなり異質な存在だ。


彼自身が創り出すサーフボードはカリフォルニアの伝統に基づき、クラシックをベースに1970年頃までのサーフボードの歴史を忠実になぞっている。


当時のサーフボードを当時に遡って再チューニングし、誰もが考えず、成しえなかったショートボードの時代に続く、真の意味でのロングボードの進化を体現する唯一無二のシェーパーだ。


それゆえに、彼のボードは時に理解されないこともあるが、この15年間のロングボードのムーブメントを見れば、ロビンキーガルが残してきたものこそがそのすべての源流になっていることは明らかである。


天才的に研ぎ澄まされた感性と土台のブレない忠実な歴史の再現。


ロビンキーガルが他のシェーパーとまったく異質な存在であることは、明日の風向や波のサイズ、ボードの販売本数を気にする一般的なシェーパーとまったく異なる感性でサーフボードをクリエイトしているからである。


彼は本流カリフォルニアを起源とする優れたシェーパー、サーファーではあるが、怠惰な生活を好むサーフジャンキーではない。


ロビンキーガルは、自分自身の精神構造を具現化した造形物を創り出す芸術家に他ならない。


その造形物がサーフボードの形状をしている、まさにこれが真実だろう。


しかしながらその天才性のゆえに、彼は生活に様々な問題を抱え込んでいる。


幸いにも莫大な財産を相続した彼は金銭的な問題を抱えてはいないが、現状ではある意味逃亡者であるともいえる。


もしくは逃避者。


デジタル世界、特に携帯電話に異常なほどの嫌悪感を抱くため、彼は世間のシステムからはじき出され、またそれゆえに追われる身となっている。


平和な日本に住んでいると考えられないほど、複雑な人生を自ら生み出し、その中を歩み続けている。


もはや彼の周りには、信頼できる者、協力してくれる者はほとんどいなくなった。


それでもサーフボードは創り続けたいという意思は確かなようだ。

 



この話の続きにご興味がある方は、乞うご期待ください!

 

 

この後、成田空港にアレックスノストを迎えに行ってきます!

 

 

シーコング
田中