藤沢店の田中です。
突然「コロナの脅威が再び迫っている。南に逃げる」というメールが届きました。
もちろん差出人はあのロビンです。
日本では渡航の規制が徐々に緩和されつつあり、フランスに住むロビンに会う算段をしていたところですが、再びヨーロッパにはコロナの猛威が迫りつつあり、日程の調整をしていたところ、上記のメールが来たわけです。
先日も書きましたが、多くの方はガトヘロイのインスタグラムを見て、ロビンが再び精力的にボードのシェープをしていると思っていたでしょうが、私が断言します。「そんなことはありません」
せいぜい作っていたのは自分のテスト用かもしくは友人に作ったものだけで、その写真を時間差で掲載しているものです。
もちろん彼が今後もシェープをやらないわけではありませんのでご安心はいただきたいのですが、その数が以前のように作られるわけではなく、また作られるボードも彼任せとなってしまうことは致し方ないと思われます。
彼は一般的に想像されるサーフボードシェーパーとはまったく違い、歴史とコンセプトをミックスさせながら新しいサーフボードを創造するアーティストです。
最近は彼のボードが入荷していないため、手に取れるのは以前彼が作ったボードだけなのですが、今一度見直してみるとその1本1本のすばらしさを感じ取ることができます。
以前、複数本のボードを同時に見ていた時は、単にロビンのボードは他のシェーパーのボードとは違っているくらいにしか思わなかったのですが、現在のように同じモデル名でも違う時期に作られたボード、または単に1本のボードを見て見ても、その創造性と美しさは他を圧倒するものです。
ロビンキーガルは「サーフボードの真のトランジションを実現する」という明確のコンセプトとサーフボードの歴史の精通、そして想像力によって、まさに究極のサーフボードを創るのです。
それは他のシェーパーのようにユーザーフレンドリーで、ユーザーが「乗りやすい」と感じるものとはかけ離れています。
「いったい誰がこのボードを乗るんだ?どこに行ってこのボードを使うことができるのか?」と考えるほど、余分な贅肉が取り除かれた形状をしています。
しかしそれは牙をむくような獰猛な雰囲気ではなく、むしろ美しいオーラに包まれています。
彼はボードをクリエイトするときに不自然な曲線の連続を用いることはありません。
不自然な曲線の組み合わせはサーフボードに水の抵抗を与えてしまい、スピードを失速させるので、それを取り払った彼のボードは完璧に美しいバランスとアウトライン、レールフォイルに包まれています。
レールを横方向から見るとノーズからテールまでピンと一筋の線を見ることができます。
皆さんもお手持ちのボードを一度横方向から見て見てください。どんな形状のレールでもレールの先端は連続した線として見えるはずです。しかしながらすべてのボードがきれいなカーブを描いていたり、はっきりと線として認識できるのではありません。以外にもそうやって見ると先端の線が不連続であったり乱れていたりするものが多いのです。
私たちが一般的にこのボードはいいシェープをしていると思うのはこのレールラインのスムースさときれいさにあります。
まさに「きれいなボードはいいボード」というわけです。
その昔、中村清一郎氏が「ロビンの作るボードはアウトラインが素晴らしい。もっと自信をもって売っていい」と言われたことを思い出します。
現在、ロビンの作るボードはNEWボードの入荷がなく、すべて中古ボードのみとなっており、その価値に気づき始めた人々によって人気が沸騰しています。
しかしながら彼のボードを手に取ってみると「その価値あり」と思わざるを得ません。
もし、まだロビンキーガルのボードを手に取ったり、見たことがない方は、ぜひシーコングにて“至宝”と言われるその芸術的な作品に触れてみてください。
皆様のご来店をお待ちしております。
シーコング藤沢店
田中