藤沢店の田中です。
まずせっかく夏本番となっておりますがオリジナルボードを含めた各ブランドの入荷が遅れておりまして、ご予約いただき楽しみにお待ちいただいていた皆様、大変申し訳ございません。
徐々に状況は改善されつつあるのですが、ブランド、工場に関係なく依然、大幅な遅れを取り戻せず、それによって発生した新たな問題などによって更なる遅れを生み出す結果となっております。
本来であれば現地に赴き、状況の把握と改善を図りたいところですが、現状ではそれもできない次第です。
以前より、これまでの経過を鑑み、大体の予測によって納期の予定をお伝えしていたことが、守れないことになってしまいました。
渡航が再開されるようになればすぐにでも行けるように準備しております。
それまでの間も、少しでも多くのボードが入荷するように最善を尽くしてまいります。
なにとぞご理解のほどよろしくお願いいたします。
シーコング
田中
今週の火曜日はオーストラリアからガトヘロイ、クリームのボードが届きました。
すでにご存じの方も多いと思うのですが、現在フランスに住んでいるロビンは以前のようにまとまった数のサーフボードのシェープをしておりません。
これについては「いくつかの新しいプロジェクトのために忙しい」という彼の言葉を素直に信じているわけではありませんが、少なくとも今後当分の間は、この状態が続くと思います。
彼の今後の方針は、「数よりも質を追求していく」、「同じものを作るのではなく、プロトタイプについてトライ&エラーをして、最高のボードを作っていきたい」、「その中で納得がいくものをデータ化してオーストラリアのカイエリスフリントにシェープをさせる」ということです。
今まで彼のハンドシェープボードを熱心に支持していただいた方々にと手は、まことに自分勝手な発言であると私も思います。
しかしながら反面、「フルハンドシェープというのは相当に効率が悪い」というか「真剣にやればやるほど生活は破綻してしまう」とも思っています。
いくらかの妥協と共存させ、自分の生活が成り立つように作る数を確保すれば、それも一部可能ですが、ハンドシェープのサーフボードというのは、アートと同じで、シェーパーにとっては1本1本が自分の作品です。
そのために結局、妥協よりも納得いくものを製作するのがアーティストの性なので、それにのめり込めばのめり込むほど、ボードの生産本数は減っていきます。
しかしながら、一般的な絵画などのアート作品のようにサーフボードに〇百万円、〇千万円などという価格がつけられることはあり得ません。
作り手の本質は同じでも、これは現実です。
そのために多くのシェーパーはハンドシェープと称し、実際には90%ほどの工程をマシンに委ねています。雑誌などでは長年の間、ハンドシェープというのはすべての工程を手作業で行うものと紹介されていたために、マシンを使っていることに抵抗感を持つ方も多いと思いますが、実際には、そうであってもハンドシェープと呼ばれるものは多く存在し、それを否定できるものでもありません。また、ボトムのロッカーについては、最初からシェーパーはデータ化されたものを使用するのが一般的なので、これについてもすでにマシンに頼っていると言わざるを得ません。
話がちょっと逸れてしまいましたが、ハンドシェープにこだわっていても、シェーパーはある程度効率的にボードを作っているということで、それはなぜかというと、彼らの生活を支えなければならないからです。
シェーパーが1本のサーフボードから得られる利益はそれほど大きくありません。だから最低でも毎月、20本以上のボードを作らなければならないと考えるでしょう。
しかし、ロビンキーガルについて言えば、そんな考えは通用しないのです。
彼はたとえ生活が破綻しようとも、やりたいことをやるのです。頭ではわかっていても(わかっていませんが)、計算通りに行動するような男ではありません。
とにかく思い立ったらそのことを追求するのみです。ベッドではなく工場の床に寝たり、1日20時間以上もシェープルームにこもっていたりするのです。
だから彼の創るボードは他のシェーパーが作るボードとはまったく異次元の違いを見せるのです。
完璧な素材選び、完璧なアウトライン、完璧なレールフォイル、完璧な仕上がり、、、、同じ色、同じ長さ、同じコンセプトであっても彼の創るボードは違い過ぎるのです。
その評価は彼がボード作りを休止させてことによって、彼のボードが市場に出回らないということが多くの人々に伝わることによって、急速に上昇しました。
いつも買えるものであれば、それほどまでは意識しなかったことでも、もう買えないかもしれないと思って、それをよくよく見れば、気づくのです。
「やっぱりロビンのボードはすごいな」と。
しかしながら、そんな世間の評判を知ってか知らずか、彼はフルハンドシェープのボードを作り続けるのではなく、効率と追求という2つの方法を同時に解決する方法を選んだのです。
カイエリスフリントはオーストラリアは及び世界のロングボードシーンにおいてはもはや知らない人がいないほど優れたサーファーです。しかもその人柄は来日して本人にあった方はご存じだと思いますが、寡黙でやさしく、礼儀正しく、謙虚です。若いのにまったく浮ついたようなところがなく、素晴らしいパーソナリティを持っています。
過去に何人もに裏切られ(本人曰く)、ボードをコピーされた経験を持つロビンですが、このカイエリスフリントに対しては絶大な信頼を寄せています。
ロビンのこの計画はすごく自分勝手なようにも見えますが、この本質は1950年代からのサーフインダストリーにおいてはむしろスタンダードな方法とも言えます。
ベルジーもデューイウェーバーもすべてのボードをシェープしていただけではありません。
彼らはブランドのイメージを確立し、スターとしてプロモーションし、マスターボードを作っていたのみです。
破天荒に見えて、歴史を継承するロビンならではの決断です。ここまで来るには無駄な時間を費やしたような気がしないでもないですが、新たなる挑戦は止むことはないでしょう。
ということで、長くなりましたが、改めて今回入荷した『ガトヘロイ by カイエリスフリント』についてご説明させていただきたいと思います。
◎品質について
まず仕上がりの品質ですが、これにつきましてはまったく問題がないと思います。
使用しているブランクスのブランドの違いと、カリフォルニア製のボードに使用するレジンが少し青みが強いこともあって、同じ「クリアー、ボランクロス仕様」でも、ボードの白色がより強調される印象です。
◎シェープについて
もともとロビンのシェープするボードが同じモデルであっても1本1本すべてが違うシェープであったので、単純に比較することはできませんが、今回入荷したボードは比較的ボリュームがあります。
レールは少しアップレール気味になっていて、ボトムのラウンドも若干強い気がします。
これはもっぱらオーストラリア全体において速いブレイクが多いことの影響かもしれません、
ライディング時の横方向のストレスは軽減され、バランス次第でボードはスピーディになると思います。
ロビンがたまに作っていた"極薄”シェープとは異なり、"初めてのガトヘロイ”という方に安心してお勧めできると思います。
◎全体的な印象について
前述のようにロビンは完全なアーティストで、ストリンガーとクロスとのバランスからカラーを調節したりするために、一見クリアーに見えるボードでさえ、他のボードとは比較できないほどのオーラを発しています。
そのことがどうしても先入観としてあるので、どうしても比較した場合には違いを感じざるを得ないところが正直な感想です。
すでにガトヘロイをお持ちの方はどうしても比べてしまうと思うのですが、もしいろいろロングボードに乗ったけど、ガトヘロイに興味があるということでございましたら、思う存分に安心してご使用いただけると思います。
いずれにせよロビンがこれらのボードをクリエイトしたことは事実です。
ぜひ世界最高峰のロングボードをご堪能ください。
★ダガー
元々アレックスノストのために作ったシグネチャーモデルです。
ピッグ形状のノーズライダーを使用していたアレックスとの考えに基づき、もっとスピードの勝るノーズライダー、そしてアレックス好みの究極のピボットターンが可能なモデルとして創られました。
伝統的なスピードシェープの形状に見えますが、直進性能を重視しているスピードシェープとは異なり、ロールボトムによってボードのノーズがすごく軽く動きます。
ノーズはちょっと難しいと思いますが、掘れた速い波を突き抜け、コントロール重視のボードをお探しの方にお勧めです。
★スムースオペレーター
ロビンがブランド創設以来愛用し続けているクラシックピッグピンテールのモデルです。
1960年代のボードからインスパイアされているのは他のモデルと同様ですが、当時のボードのレールフォイルを独自に進化させ、当時のボードではありえなかったスピードとバーチカルなコントロール性を有しています。
最大幅があるテール寄りではリラックスしたカジュアルなトリム&グライドを楽しみ、ノーズ方向に2歩移動しただけで得られる爆発的な加速を楽しめます。
決して難しいコンセプトではなく、ちょっとこだわったボードでロングボードならではのシンプルなトリム&グライドを楽しみたいという方にお勧めです。
★プレイピッグ
ボードコレクターとして有名なお客様より、「ベルジータイプのピッグをロビンに注文したい」というご希望によって作られたボードが原型です。
1960年代後半に興ったショートボードレボリューションを自らの手で完全に繋げたい(トランジション)というコンセプトを持つロビンとしてはさらに古い時代のボード作りとなりましたが、2作目として作られたこのモデルは、さらに古き良き時代ののんびりとした感じを満喫できる極上のクラシックピッグとして生み出されました。
ガトヘロイブランドではなくクリームブランドのロゴがつけられていることからも明白ですが、伝統的なカリフォルニアクラシックスタイルをイージーに楽しめるボードです。
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引き続き、楽しい連休をお過ごしください。
シーコング藤沢店
田中