藤沢店の田中です。
5月の中旬、カリフォルニアに行っていたのですが、サーフボードの工場でシェーパー達と話をする中で、スポンジボードの氾濫にいら立ち、苦言を呈しているのが目につきました。
(シーコングではロングボードのみならず、新品中古のあらゆるサーフボードを販売しているので、スポンジボードが悪いと言っているわけではありません。あくまでもサーフボード、サーフカルチャーの捉え方の話なので、気分を害す可能性のある方は読み飛ばしください。)
今まで何度も書いていることですが、カリフォルニア、特にその文化の中心地であるオレンジカウンティにおいてはサーフィンとは古き良き時代へのレイドバックの象徴です。
1950年代から60年代前半にかけてアメリカが最も輝いていた時代(敗戦後の日本がもっとお憧れていた時代)、自由の象徴としてサーフィンは爆発的に流行しました。
当時を過ごした世代はそれを懐かしみ、後に生まれた世代はそれに憧れたのです。
サーフィンはその憧れを体現できる物であり、それだからこそサーフボードの選択の基準は当時のものがベースとなります。
1967年までのロングボードの時代に作られたものがその象徴であり、それ以降のショートボードの影響をうけたサーフボードはマスプロダクションやハイテクノロジーの象徴なのです。
そのためにサーフィンの文化、歴史にこだわるサーファーたちは1967年までの形状、コンセプトをもとに作られたボードしか乗らないのです。
どんなにそれ以降につくられたサーフボードの機能がよくても、それは彼らの判断基準から外れたものなので、決して選択肢にはなりえません。
サーフボードにこだわれば、乗る車も、着る洋服も、弾かれるサウンドも、描かれるアートもすべて1967年以前の時代の影響を受けたものになります。
その究極のこだわりから生まれたものが、新たなサーフィンカルチャーとして世界中に派生していきます。(ナイロン製のひざ下丈のダブダブのサーフトランクスがサーフカルチャーの象徴として世界中に広まっているわけではないのです)
だから彼らにはスポンジボードを選ぶ理由はないのです(多くのスポンジボードのブランドはコンテストで名を馳せた有名なショートボーダー達から発信されているものです)
そのようなスポンジボードに乗るのはオレンジカウンティのずっと南に位置する、文化よりも革新を求める傾向が強いオーシャンサイドからサンディエゴのエリアでは当たり前に普及するのですが、長い間オレンジカウンティはその牙城を守り、名だたるビーチにいい波が来たときにはスポンジサーファーを見かけることはほとんどありませんでした。
ところがコロナ以降、そのオレンジカウンティにもそのスポンジボードが押し寄せてきているのです。
まだまだ波がいい時のピークにラインナップするのはオールドスクーラーのみですが、その周辺では相当数を見かけます。
その様子を見てオレンジカウンティでサーフボードの製造に従事する者たちは(ほとんどのスポンジボードは台湾、中国、タイ製なのでオレンジカウンティでは当然作られていません)、自分たちの商売の領域を犯すことに不満を現すのです。
しかし彼らの不満の大半は仕事を奪われることよりも、自分たちが憧れ、大切にしてきたサーフィンカルチャーの消失に対するものなのです。
「サーフィンにテクノロジーや新素材は必要ないだろ。サーフィンは日常のストレスから距離をおけるところがいいんだ。それなのに・・・・」と、言うのがいい分です。
25年前、シーコングを始めたときはそんなことなどまったく理解せず、私自身も最初にオーダーしたロングボードは8'11ftのサイドフィン付きのボードでした。
しかし、彼らと長く付き合ううちにわかってきたのです。
「性能や進化じゃないんだな。彼らが大切にしているのは、その時代の継承なんだ」、と。彼らにおいてサーフィンとは生き方のスタイルの一つなんだと、教えられたのです。
先日話題に上ったスポンジボードを例に書かせていただきましたが、「性能の比較ではなく、"STYLE is EVERYTHING!!"」なのです。
ただし、前述のように、シーコングはあらゆるサーフボードを扱い、それぞれのお客様が求める最適、最善のボードをおすすめさせていただいております。
もちろん一番のお勧めはシングルフィンロングボードですが、他のボードを選ぶのもまた人それぞれです。”サーフィンは自由の象徴”なので、ぜひ何にもとらわれず自由にお楽しみください!
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シーコング藤沢店
田中