藤沢店の田中です。
一昨日、カリフォルニアから帰国しました。
5月8日に日本を出発し、5月18日早朝に現地を出発したので、正味たったの10日間だったのですが、今回も1か月くらいの長旅に感じるほど疲れ果てて帰ってきました。
時差ボケを感じる暇もなく、名物のロサンゼルスの渋滞をまたぐ毎日の往復、工場、食事、ライブ、バー、バー、バーの繰り返しの毎日でした。(同行の岡田がベッドの上で寝れたのは3回だけでした)
ファックスと電話が主流だった25年前の創業時と違い、現在はメールで注文から入荷までの仕事はほぼ事足りるのですが、それでも実際に顔を合わせることはとても大事に思っています。
もともと仕事しない彼らでも私たちが行くとなれば、それ相応に準備をして、私たちにいろいろと見せてくれたり、考えていることを話してくれます。(実際に今回の10日間で、ああ仕事してたんだなと感じたのはトロイだけで、他はなんだかんだ言いながらまったく仕事をしている気配がありませんでした・・・)
また本来なら接点のなかった人たちと偶然に知り合うことができるのもやはり現地に足を運んだことによって生まれます。
カリフォルニアには星の数ほどどのシェーパー、上手いサーファーがいるのですが、その中でも世界で一流と評される者はごくごく限られています。
カリフォルニアでは、誰でも簡単に材料を揃えられ、友人の家のガレージでサーフボードを作ることができます。
それなりの形をしたボードを作り、それなりにうまく乗るサーファーは五万といるのです。
それでもアレックスノストは未だにそのシーンの頂点に君臨し、デーンピーターソンには著名なサーファーからのボードの注文が後を絶ちません。
サーフィンの上手さとシェープのレベルの高さを併せ持つトロイエルモアに匹敵する同性代のシェーパーは存在せず、ロビンキーガルにおいてはもはや異星人並みの特別扱いです。
ロサンゼルスのシアターの舞台に立つアレックスのライブやダノーの演奏を聴いたり、ロビンに連れられた歴史あるサーフショップやハーバーの天井に吊り下げられた古いサーフボードを眺めれば、特別な存在と認められるサーファーになるには、サーフィンとそれを取り巻く環境の歴史認識がとても重要な要素であるということが、今回のカリフォルニアで再認識させられました。
サーフィンカルチャーにとって、自分のサーフィンスタイル、シェープするボードがどの歴史的背景に沿っているのかということが最も重要で、カリフォルニアのユーザーはその部分を重要視してボードを選んでいます。
”サーフィンが上手い”のと、”格好いい”の差は、最新のテスラと古いフォードを比べるようなもので、その違いをわかっていないと、ボードを選ぶ基準がわからなくなってしまい、本当に自分が欲しいボードにたどり着くことは困難です。
つまりどのボードを選ぶのかは、どれくらいサーフボードについて理解しているかの尺度になるのです。
サーフボード価格の高騰は現地カリフォルニアも同じで、コロナ前に比べ2倍近くに値上がりしています。
彼らの生き方とこだわりを反映したサーフボードは特別だけに、それを真似たようなボードや低価格を売りにするボード対峙することはできません。
価値観の多様性は、どのボードが本当に価値があるのかということを見失わせ、混とんとした状況を生み出します。
だから彼らは「自分たちの価値観を伝えて欲しい。自分たちが作るボードはマシンシェープで大量に作られたものではなく、1本1本すべてを手作業でシェープしている。1本のサーフボードに持っているものをすべて詰め込んでいるんだ。常に世界最高のボードを追求しているんだ。だから時間と手間はマシンシェープのボードの何倍もかかっていることを理解してほしい」と訴えています。
サーフボードの価格が上昇を続けている今日、私も今まで以上に彼らの作るボードのすばらしさを広め、彼らの願いを叶えていかなければならないと今まで以上に強く感じました。
まずはカリフォルニアに行って感じたことを書きました。
引き続き、楽しい週末をお過ごしください。
シーコング藤沢店
田中