シーコング店長ブログ

シーコング各店より毎日お得な情報をお届けいたします。


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ロビンキーガルと海外渡航につきまして、

 
藤沢店の田中です。


新型コロナウイルスの影響が徐々に収まってきていると期待していたら、世界は新たな展開に揺さぶられることとなりそうです。


3月からの海外からの渡航者に対しての隔離制限が緩和されそうということを聞き、3月23日からの渡航へ向け3回目のワクチン接種を予約した矢先、こんなことになってしまいました。


現在も往復の予約チケットは保持しており、昨夜ロビンからも渡航に問題はないだろうと連絡は来ましたが、新たな懸念によって先行きが危ぶまれてきました。



現在、サーフボードの入荷は少しずつ改善してきていますが、ご存じのように原油高による原材料や輸送費の高騰、そしてカリフォルニアの人件費の上昇により、この2年間でサーフボードの価格は値上がりを続けています。


シーコングはブランド、シェーパーと直接のやり取りによって商社や輸入代理店に流通マージンを支払う必要がないために、国内で仕入れをしているサーフショップなどに比べ価格を抑えることができますが、サーフ業界が負う全体的なマイナスの影響は避けられないと思っています。


原材料や輸送費の高騰、人件費の上昇は避けられないのですが、私たちにとっては問題はそれだけではありません。


お金を支払ったのに届くはずのものが届かなかったり、オーダーと違っていたり、4本入るはずの大きさの箱に1本しか入っていなかったりすることは、ボードの価格を押し上げることにつながってしまいます。


それであるにもかかわらず、アメリカ人である彼らは(アメリカ人がみな悪いと言っているわけではなく、私たちが取引している“サーファー”の彼らということです)、1本だけ送り忘れたり、梱包用のボードケースを粉まみれにしたり、ボードの長さが少し違うことに、何ら責任も感じておりません。


少々愚痴っぽくなってしまいましたが、これらのことを解決してサーフボードの価格を少しでも上げなくて済むようにどうしてもカリフォルニアに行かなければならないと思っています。


会って話をすれば必ず解決するわけでもないのですが(実際にはシーコングを始めて以来24年にわたりほとんど解決されていません)、世界が危機的なこの状況の中では少しは話を分かってくれるのではないかと期待しているわけです。



そしてこのようなだらしのないサーフカルチャーに嫌気をさしてフランスに脱出したのがロビンというわけです。



口を開けば「あいつらは・・・」「本当に働かない・・・」「親からお金をもらって遊んでいる」「すぐに人のせいにする」「何も考えていない」「真似するだけ」と罵倒し、あたかも自分自身はそんな奴らと一線を引いていると息巻くのです。


・・・私から見れば、お前が一番カリフォルニアのサーファーらしいけどな、と思うのですが・・・(最近、デーンもことあるごとに同じようなことを言っているので先行きが少し心配です)


ということで、私はまずロビンに会いに行かなければならないわけです。
 

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実際にはロビンと会っても何かが解決するわけではないのですが、とにかくシーコングではクリームが一番の取扱数ですし、大変多くの皆様がロビンのハンドシェープを手に入れたいと思っているのです。



しかし彼に会ってすぐにボードの話ができることはありません。


まずは久しぶりに会ったことを楽しむために、まず彼は私を連れまわります。


自分の行きつけのレストラン、景色のいいとこ、私を驚かせるようなとっておきな場所に何日もかけて連れて行くのです。


あらかじめ見つけてあった一軒家や貸出中の物件などを回り、自分の壮大な夢を語ったりします。


その間、ほぼ仕事の話はおろかサーフボードの話をすることもありません。


ひたすら自分の感性に響くようなことを私にも感じさせようとするのです。


そうした後、ようやく彼のファクトリーに向かうのです。


今シェープ中のボードを見せ、新しいコンセプト、プロジェクトについて少しずつ話し始めます。


ここで私が急いで結論を求めようとすれば、このトリップは失敗となります。


彼はおそらく説明しながら、自分の言葉をかみしめ、整理し、納得のいく方法を見つけ出すのだと思います。


何日も何日も同じ話を繰り返します。


その後、彼は再びカリフォルニアについて、アレックス等について、世界のサーフシーンについて毒を吐きまくります。


これについても何日も何日も・・・



このあたりで私の忍耐も限界となりますが、もう少しの辛抱です。


そしていかに自分がそれらの被害者であるかと私に訴えます。これも何日も何日も・・・



そうやって私の耳にタコができたころ、彼は私に話すこともなくなり、唐突に「それで、何しに来たの?」と聞いてくるのです。



そこまでに約2週間はかかるでしょう。


しかし、このプロセスがないと話は始まらないのです。



私はおもむろに「約束しているボードを作ってくれよ」と切り出します。



そして彼の機嫌がいいことを確認して「今作ってるボードがあるだろ。あれは何なんだ?あの中から数本日本に送ってくれよ」といいます。



続けざまに「日本にはお前のファンがいっぱいいるんだ。お前のボードをみんな楽しみにしているんだ。お前はヒーローなんだから」とおだてたりもします。



ここで彼が「わかった。約束するよ」といっても、私は気を緩めません。


「だから今年は最低50本作ってくれよ。ボードができるころ、誰かを寄こすから発送は任せてくれよ。お前は何もしなくていいから」と、彼が口だけで終わらないように念を押しておきます。



私が2週間以上もヨーロッパに行くことに関してはお客様のみならず、シーコングのスタッフの中にも「いいなあ、遊んでばっかりで・・・」と思っているのではないでしょうか。



しかし私はこのように2週間を耐えてしのぎ、最後の矢を放ってくることに腐心しているのです。




ロビンキーガルが創り出すサーフボードは、それだけの価値があるのです。また彼がその間に連れて行ってくれる場所には私にない感性を呼び起こしてくれるのです。彼が紹介してくれる人々はカリフォルニアに限らず、また年齢に限らずサーファー界の中心人物ばかりです。


そうやって彼と過ごすことによって人のつながりができ、歓声が養われていくのです。



だから決して私のことを「遊びに行ってる」とは決めつけになられないようにお願いいたします。



と本日は私の渡航の言い訳をまとめてみました。



このような状況の中、賛否両論あることは承知しておりますが、何とかこの渡航が成功裏に終わるように願っています。



シーコング藤沢店
田中