藤沢店の田中です。
皆さんはもう最新号の『サーフトリップジャーナル9月号』をご覧になったでしょうか。
巻頭特集「サーフジプシー」にて、あのジャレッド・メルの記事がインタビュー形式で4ページにわたって掲載されています。
ジャレッドがサーフィンを始めたきっかけや最近の生活などについて主に描かれていますが、その中でサーフィンを始めた後、アレックス・ノスト、ロビン・キーガル、そしてコーディ・シンプキンスの影響を大きく受けたことが書かれています。
コーディ・シンプキンス。日本ではそれほど知られた存在ではありませんが、その名は、今や世界的なスターとなったアレックス、ロビン、ジャレッドを語るときに決して避けては通ることができないほどカリフォルニアのコアなサーファー、メインストリームサーファーにとってはビッグネームです。
彼の名が日本でほとんど知られていない理由はいくつかあります。
それは彼はサーフィンを生活の糧としているのではなく、本職は消防士であること。ダクトテープなどのコンテストに招待されることよりも家族との時間、仕事を優先していること。(実際には初期に一度招待され出場していますが、その後はすべて断っています)
そして現在は海からまったく離れたアメリカ大陸の中部に移住をしたことによると思います。
また、それ以上に、彼の並外れた高度なテクニック、他に類を見ないスタイルは、残念ながら日本では理解の範囲を超えていることが原因だと思います。
「常識を超えた」、「異次元の」という言葉は現在のジャレッドへの賛美として使われることが多いのですが、ジャレッドのライディングももしかしたら、コーディ・シンプキンスのスタイルの前には影を潜めてしまうかもしれません。
よく私は「1990年代に入り、ロングボードリバイバル期から主流であったパフォーマンス系の流れの中に、ジョエル・チューダーが出現し、シングルフィンロングボード=ノーズライディングが新しいムーブメントとなった。そしてその後、2000年代の中ごろから、ノーズライディングを重視した鈍重なボードに退屈感を覚えたアレックスやロビンがPIGを提唱したり、スピード性が高くラディカルな動きを可能にしたボードで新しいライディングのラインを描き、そしてそれが世界標準として現在のロングボードシーンを牽引している」と書いていますが、その彼らに大きな影響を与え、彼らを新しいスタイルに導いていったのがまさにコーディ・シンプキンスだったわけです。
ニューポートビーチ界隈で育ち、10代のころからLA近辺のパーティガイとして知れ渡ったほどの、いわゆる遊び人でしたが、同時に早くからサーフィンでも頭角を現し、当時まだ免許を所有していなかったアレックス・ノストを引き連れビーチに出没していました。
そして、二人は地元の名ブランド「ロバート・オーガスト」のチームライダーとなり、来日もしました。
その頃、パーティガイとして荒れた生活をしていたコーディですが運命的に出会った彼女から「私か、パーティか、選んで」と究極の選択を迫られ、その後はパーティの世界から足を洗ったのでした。
ロバートオーガストからダノーのライダーとなった時もニューポートビーチのブラッキーズでは右に出るものがなく、すでにその名は広く知れ渡っていました。
当時のダノーのライダーにはそのコーディ・シンプキンスを筆頭にアレックス・ノスト、チャーリー・ホワイト、ジャレッド・メル、トロイ・エルモア、JT、タナー等がおり、そこにロビン・キーガルも加わり一大勢力を築いていました。なんとアレックス・ノスト、ロビン・キーガル、ジャレッド・メルの3大スターは一時期同じボードに乗り、そしてコーディ、タナー、トロイも含め、6名ものダクトテープサーファーを輩出しています。
それは、ダノーが作る伝統的なクラシックのフィーリングを受け継ぐボードとともに、周辺の若くてイキのいい奴らがコーディ・シンプキンスのスタイルに引き寄せられたといっても過言ではないでしょう。
ひとえにカリフォルニアのロングボードシーンといっても様々なスタイルがあります。カリフォルニア北部のパフォーマンス重視のスタイル、オーシャンサイド以南からサンディエゴにかけてのテクノロジー的で革新的なスタイル、マリブやサウスベイ周辺のお金持ち相手のクラシックスタイル・・・しかし何といってもカリフォルニアのサーフシーンはオレンジカウンティが主役です。
その主役が集うオレンジカウンティではスタイルが重視されます。だからダノーのように超重量級のボードがもてはやされたり、アレックスが突然どこかのガレージから70年代のボンザーを引っ張り出して来たり、ロビンがそれらを融合したものを作ったり、となるわけで、それらのボードを当時の乗り方で乗ってビーチで喝さいを浴びるサーフスターがいるわけです。
オレンジカウンティでは、ただ単に奇抜なボードを作ったものや、革新的なテクノロジーで性能をアップさせたものが注目を浴びるのではなく、あくまでもスタイルが重要なのです。
だからオレンジカウンティで名を馳せた有名サーファーは他の地域のように「サーフィンはうまいけど、来ているものは普通のTシャツと大きめのサーフトランクス。乗っている車は日本製」とはならないのです。彼らが着ている服、奏でる音楽、描くアートが「サーフカルチャー」を代表して世の中に排出されるわけです。そういった意味で‟オレンジカウンティ”は特別な地域でもあるわけです。
話がそれましたが、その頂点にいたのがまさにアンダーグラウンドのローカルヒーロー、コーディ・シンプキンスだったわけです。
シングルフィンロングボードはノーズライディングだけが魅力なのではなく、もちろんサイドフィンが付いたボードともまったく違い・・・・それでもこんなサーフィンができるんだということを体現したサーファーが、コーディ・シンプキンスです。
彼のサーフィンをご覧になりながら、ロビン、アレックス、ジャレッドに与えた影響を考え、そしてご自身の新しいサーフィンのスタイルを追求してみたらいかがでしょうか?
こんなにすさまじく、ロングボードを操れる人がいるでしょうか?まさに"HOT DOGGING"神業の連続です。
こちらはアレックス、ロビンとの共演です!
トリム、ノーズライディング、ドロップニーカットバック、ホットドギング、ヘッドディップ、スイッチスタンス・・・シングルフィンロングボードのマニューバーのすべてが詰まっています。
"Style is Everything!!"
追記
コーディ・シンプキンスのことをネットで調べていたら、こんなサイト「LIQUID SALT」を見つけました。
この中ではサーフィンに関連する様々な人のインタビューが掲載されていますが、何人もが好きなサーファー、影響を受けたサーファー、一番のシェーパーにロビン・キーガルの名前を挙げています。
その中でサンオノフレのローカルサーファー、キャメロン・ブラウンが以下のようにインタビューに答えていますので、勝手に抜粋、意訳し、ご紹介させていただきました。
質問:今のあなたのサーフィンを形成し、影響を与えている人は誰でしょう?
キャメロン:もし一人だけと限られるなら迷わずロビン・キーガルだ。
彼は今日の彼のポジションを築くために膨大な時間と相当な労力をサーフボードのために費やし、マスターシェーパーとなった今でもその姿勢は変わらない。
ロビンは私がサーフィンを始めて以来常に一番格好いいボードを作り続けている。
私は彼のボードはロングボードの未来の姿だと感じているんだ。だからすべての人に一度でいいから彼のボードを試してみることを勧めたいんだ。
彼は今まで誰も作ったことがないようなボードを生み出す規格外の想像力と能力を備えてるんだ。
それでは今週フランスから届く、ファットキャット、プレイデー by ロビンキーガルをお楽しみにお待ちください!⇒入荷ボードの詳細はこちら
シーコング藤沢店
田中