藤沢店の田中です。
近頃はよく「ボードの値段が上がった」と言われます。
実際、コロナ前と後では約25%、価格にして6万円以上値上がりしてしまいました。
その理由は、ガソリンを原料とするフォームやレジン価格が値上がりしたこと、仕上げのラミネート工場で働いていた人たちが仕事をするよりも休んだ時にもらえる国からのコロナ関連の手当ての方が高かったため仕事に出ることがなくなり、作る人がいないのでボードができなくなってしまい、「それでは困る」とそれまでよりずっと高いお金を払って働いてもらわざるを得なかったからです。
それによってカリフォルニアではボードの価格がそれ以前より1.7倍くらいに跳ね上がりました。
(それどころか朝食にパン一つとコーヒーを買っても優に3千円を超え、紙パックのジュースも800円といったカリフォルニアのクレイジーともいえる物価の高騰を考えると、サーフボードだけに限った話ではないのですが・・・)
シーコングを始めた頃は「どこよりも安く」を売りにしていたのですが、取扱っているブランド自体が徐々にハイエンド化してしまったために、表面上は高額なボードを取りそろえているように見えてしまっています。(今も直接シェーパーから仕入て、直接お客様に販売しているので、実際はどこよりも安いはずのですが・・・)
マシンを使えば1日に5~6本くらい、それ以上の本数をシェープすることができます。シャドーシェーパーを使えば、その数に限りはありません。
しかし、すべてをハンドシェープするシェーパーは元々こだわりが強い分、自分が完璧だと納得できるボードを作るために時間を費やしてしまいます。
ある時は1日に2本仕上げられても、ある時は1本のボードに3日以上費やしたりすることもあります。
それ以前にも、ボードをシェープするにあたってその構想から試作とテストを頻繁に行い、1本が完成した後もそれに納得することなく探求を続けてしまうために、実際には1月に数本しか仕上げられないこともザラです。
安定した性能と数を優先してマシンを取り入れているデューイウェーバー、ハーバー、クリームなどとは別に、ハンドシェープにこだわるシェーパーはこれ以上値上げをすると自分が作ったボードが売れなくなってしまうと心配し、一番肝心な自分自身のシェープ代を抑えなければならなくなっている事態です。
(すでに自宅を所有しているダノーやアレックス、遺産を相続したロビンは危機感がだいぶ違います・・・)
それでも彼らは、マシンを取り入れたり、ほんの少しだけでも手を抜いたりすることすらできないのです・・・だからハンドシェープにこだわっているわけですが・・・
しかし、そのように価値あるボードであるといっても、その分高く売るということはなかなかできません。値段が高いと購入していただける人も少なくなり、そうすると彼らに次の注文をすることができなくなってしまいます。
これは私たち、作っている者と売っている者の責任なのですが、サーフボードの良し悪しが見極めにくいこの状況下の中で、本当に”価値あるボード”とはということを、少しでも皆様にお伝えしたいと思って書きました。
誰が、どんな材料を使い、どのようなコンセプトを持って、ボードを作るのか・・・それは大量生産されたボードとは違い、シェーパーが丹精を込めて作りあげた作品です。見よう見まねで作られたそれっぽいボードとも違います。
実際には乗り比べてもそれを感じることはできないかもしれません。しかし、情熱を注ぎこまれて作られたボードは所有感を満たしてくれ、私たちの心を豊かにしてくれます。
自己満足ですが、それを所有するだけでうれしい、波が小さくても、上手く乗れなくても、こだわって作られたボードを手にすれば、私たちの心は満たされます。
私たちは、そのような”価値あるボード”をご提供させていただいております。
ぜひ、ご興味を持っていただき本当の”価値あるボード”をゲットしてください。
⇒アンヒンジドサーフボード by デーンピーターソンについて
⇒ブラウンマイクロウェイブテレビジョン by アレックスノストについて
皆様のご来店、お問い合わせをお待ちしております。
シーコング藤沢店
田中