藤沢店の田中です。
カリフォルニアから帰国し、1週間が経ちました。
いまだ時差ボケを引きずっているにもかかわらず(通常2週間ほど悩まされます)、実は急用ができて、近いうちにもう一度カリフォルニアに行かなければならなくなってしまいました。
インターネットの普及で便利な世の中になりましたが、やはり足を運ばなければならないことがあります。
面倒くさい反面、せっかく足を運ぶので、前回すぐに完売してしまったハーバーのシャツやグッズをもう一度、持ち帰ろうと思っています。
その他にも、たくさんの方から「ダノーのステッカーが欲しい」、「ウェーバーのハチェットフィンが欲しい」、「ガトヘロイのダガーをシェープしてもらうように言ってくれ」など、いろいろなご要望をいただくのですが、彼らを相手にそれを実現するのははなはだ困難なことで、「そんなに簡単に手に入るなら、とっくに送ってもらってるわい」と泣き叫びたくなる気分です。
ガトヘロイに関してはサンプルの写真やずっと以前の写真などもアップしてしまうので、さらにお客様を混乱させてしまいます。
雑誌「Blue.」の最新号にも書かせていただいた通り、彼らはアメリカ人の中でも特殊な”オールドスクーラー”という人種です。
⇒私が記事を書かせていただきました、雑誌「Blue.」はアマゾンでもご購入できます
それは現代の感覚からすれば、「時代遅れのどうしようもない奴ら」ということになってしまうのです。
ただし、本当のことを言えば、彼らは本当に「どうしようもない奴ら」ではありません。
彼らは現代社会に背を向けて生きているのです。
あえて、携帯電話は持たない。
あえて、カーナビゲーションは使わない。
あえて、時間にルーズになる。
あえて、効率の悪いハンドシェープにこだわる。
あえて、使い勝手の悪い古い車に乗る。
その理由は、「そんなことしたって疲れるだけだろ。もっと楽しく、のんびり生きていこうぜ」という感じなのです。
だから時間に関係なく、物作りにこだわりことができ、それを評価する人もまた現れるのです。
彼らの作るボードは、そのこだわりを追求しているのです。
話はちょっと飛びますが、シーコング藤沢店は地元鵠沼海岸のボランティアビーチクリーン団体であるKBCCに加盟しています。
今日は第4日曜日ということで、私もビーチクリーンに参加してきました。
ビーチを約300メートルくらいゴミ拾いをするのですが、同時に多くのロングボーダーを見かけます。
以前に比べてカリフォルニアスタイルのシングルフィンロングボードがすごく増えていますが、それでもサイドフィン付きのロングボードに乗ったサーファーも多く、それよりも目立つのはシングルフィンロングボードに乗っていながら、まるでサイドフィン付きのロングボードに乗っているような動きをするサーファーです。
長くなるので、今日はその違いを詳しく説明しませんが、サイドフィン付きのロングボード(シングルフィンであってもダウンレールやレールにエッジを施してあるボードも含め)と一般的なカリフォルニアスタイルのシングルフィンロングボードはまったく乗り方が違います。
簡単に言えば、サイドフィン付きのロングボードはショートボードのように動かすことを目的とし、シングルフィンロングボードの目的はトリム&グライドです。
足の開き方から立ち姿までのすべてが別物です。
どちらがいい、悪いというのではなく、その違いを知っていなければ、自分のボードは調子が悪い、あのボードは性能が悪い、となってしまうのです。
それは本当はボードが悪いのではなく、乗っているサーファーがその違いを理解できずに、乗り方が間違っているだけなのですが・・・・
なぜそのような方が多いのかというと、多くの方がロングボードに乗っているにもかかわらず、「サーフィンは動かしてなんぼ」と思っているからで、そのような目線でサーフボードを選んでしまえば、シングルフィンロングボードであっても、コントロール性を重視してしまうのです。
話は戻りますが、カリフォルニアで評価されるシェーパーの作るボードはまったく逆です。
彼らの評価は、どれだけ歴史を忠実に再現し、その中に個性を埋め込んでいるかということです。
もともと古いものを再現しようとしているのに、現代目線の性能などは眼中にないのです。
「古いものは古いなりに」が原則です。
なぜ、ロングボードがこれだけ楽しいかと言えば、それは誰にでも簡単に乗ることができるからです。
久しぶりに海に行っても、立っているだけで沖から岸まで波を乗り継ぐことができるのは、シングルフィンロングボードの最大の魅力で、短いボードや軽いボードにはできないことです。
にもかかわらず、多くの方が二言目には、「動かしづらい・・・」と言ってしまいます。
「動かす」、「ノーズライド」という呪縛から解放されれば、ロングボードはもっともっと楽しめるはずです。
サーフィンは古き良き時代のノスタルジーをベースカルチャーとしています。それはアメリカ人が偲ぶ1950年代、1960年代というわけではなく、誰もが持つノスタルジーの感覚、「昔はよかったな。子供のころは何にも悩みがなくて楽しかったな」という時代へのレイドバックです。
だからサーフィン、特にロングボードに修行のような練習を求める必要はありません。
私たちシーコングは、カリフォルニアのサーフィンカルチャーの中でも特に伝統を重んじるオレンジカウンティのサーフボードをメインに取扱っています。
彼らの作るボードはこの上ないほど素晴らしいもので、世界中のどこに行っても「そのボードはいいボードだね」と評価されます。
しかし、私たちが本当に伝えたいのは、「性能重視ではなく、楽しさ重視のロングボードカルチャー」です。
先週までのカリフォルニアと、今日の鵠沼海岸を比べ、もっともっと楽しさ重視のロングボードをお伝えしていきたいという使命感にかられた次第です。
今後とも皆様のお役に立てられるようなお店を目指してまいります。
シーコング藤沢店
田中