藤沢店の田中です。
ご存じの方も多いと思いますが、今月の12日、リッチハーバーが亡くなりました。
サーフボードの歴史において彼の功績は非常に大きく、後世に与えた影響も数知れずあります。
それは直近でハーバーから届いたボードのシリアルナンバーが32500番を超えることからもうかがい知れます。
ご存じのとおりリッチハーバーは1957年に自宅のガレージでシェープを始め、1959年には現在のシールビーチに工場兼ショップを始めました。
以来60年以上にわたり、同じ場所で営業を続けているのです。
多くのブランドは1970年代から80年代にかけて廃業したり、身売りを余儀なくされました。場所を頻繁に変えたブランドも数多くあります。
しかしハーバーだけはずっと同じ場所にありました。
巨大なブランドではありませんでしたが、いつも革新的で職人気質で、大量生産をせず生産本数はどのブランドよりも抑えられ、ユーザーの信頼を得続けてきました。
そのリッチハーバーは創業以来、数々の名作をよく送り出しました。
そこで藤沢店ではリッチへの哀悼の意を表し、また彼の功績を称えるために彼が作った名作と言われるいくつかのサーフボードを展示しました。
ぜひお近くにお越しの際は、サーフボード史上に燦然と輝くボードをじっくりとご鑑賞ください。
★シーコング20周年記ボード(中央)
シーコングの創業20周年を記念して作られたボードです。
原型はリッチが1967年に彼のシェープ人生において2本目に作ったボードです。(1本目はその出来栄えに満足できなかったため)
オレンジ色の部分はティントカラーではなく、オレンジ色に染められたフォームを使用しています。
ストリンガーはテール側から4インチのバルサウッドで継合わせではなく無垢の素材を使用し、ノーズにかけてウェッジに仕上げられ、レッドシダーによって挟み込まれたTバンド仕様です。
フィンはトラ柄の縞模様が浮き出ている無垢の素材をリッチハーバー本人の手によって丁寧にシェープされています。
その後、リッチはボードのシェープをほとんどしていないので、リッチハーバーの直筆サインが残る貴重な晩年の名作として後世に残るボードになると思います。
原型に忠実に再現されていますが、一般的にイメージする1950年代の大きくて重くいだけのイメージではなく、当時から軽量化とボードの操作性の向上に力を入れていたリッチハーバーの仕事らしく、レールは若干ピンチレールになっていて、アウトラインの美しさも秀逸です。
20周年記念パーティに集まってくれたアレックス、ジャレッド、トロイ、ダノーらも口をそろえて「ベストボード」と言っていたほどの完成度の高さです。
★トラッセルスペシャル(品番:3428)左端
このボードは1967年にシェープされた現物の新品未使用ボードです。当時このモデルの多くはディックブリューワーがシェープしていたと言われています。
カリフォルニアのトラッセルズの速いブレイクをメイクするために生み出されたスピードシェープの傑作です。
★チーターII(品番:22715)右から2番目
このボードは2000年にシーコングがハーバーの代理店となったことを記念して20本のみ限定でリメイク生産されたボードのうちの1本です。
ウェーバーのプロフェッショナル、イェーターのスプーンと並ぶサーフボード史上に輝くステップデッキの名作です。
★ビンテージ(品番:688)左から2番目
このボードはハーバー50周年記念パーティに訪れた翌日、偶然カリフォルニアのサーフショップで見つけました。
品番は3桁と非常にレアなものです。
創業間もないころ、女性のためにカスタムシェープしたという記述が顧客リストの中に残っていました。
★66バナナ(品番:32540)右端
1966年に創り出された当時のオールラウンドモデルの決定版バナナモデルを当時のままに忠実に再現されたボードです。
同じテンプレート、同じシェープ、同じ仕様で作ることができるのも伝統のなせる業です。
皆様のご来店お待ちしております。
シーコング藤沢店
田中
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