藤沢店の田中です。
ご承知の方もいらっしゃるかと思いますが、海の向こうカリフォルニアのエンシニータスでは先週金曜日の夜、あのジョージトリムが5年超の歳月を費やして制作した超大作映画「FORBIDDEN TRIM
」のプレミアショーが行われました。今やカリフォルニアのサーフィン界はその話でもちきりです。
ジョージトリムといえば、2年前の奄美大島トリップにジャレッド、ダノーとともに来日したあのージョージトリムです。渋谷のライブハウスでジャレッドとともにDJを行ったあのジョージです。
奄美大島では車の後部座席にカメラを置き忘れたにもかかわらず、「盗まれた」と大騒ぎしたり、季節外れの赤い変なコートを着て飛行機の中で踊ったり、母親のガレージから勝手に持ち出してきたボードを日本で売りさばき、映画制作費の足しにしたあの“ジョージトリムがなんと本当に映画を完成させましたのです。
ジョージの作品としてはジョエルチューダーが以前主催していた「KOOKBOXX」のプロモーションフィルムや数々のサーフブランドの広告映像が有名ですが、それ以前にも雑誌「オンザボード」に付録されていた「ロデオショー」やシーコングが依頼したシーコングが依頼した「LEAF」、伝説の(?)自転車ブランド、サウスベイバイシクルのプロモーション映像も手がけていました。
「ロデオショー」では勝手に私のプライベート映像を使用し、「LEAF」においては当初25分ものとして依頼し、オーストラリアまでの航空券もプラスして払ったにもかかわらず完成品は3分程度と大きく裏切られたこともあったのですが、13歳の時にウェーバーのライダーとして初来日して以来の付き合いなのでロビン同様にしょうがないとあきらめています。
その当時の写真がこちらです。
右端は今を時めく世界最高峰のロングボードシェーパーと称されるロビン・キーガル。左端はかつてロビンとともにガトヘロイを興したクリス、ロビンの左はサンオノフレで一番うまい奴と言われ、ウェーバーのプレイナーの考案者のダレン、そして右手前がジョージ・トリムです。
この写真はカリフォルニアのサンクレメンテにあるウェーバーのお店の中に飾られていたものですが、当時はこのメンバーに加えタイラー・ウォーレンも在籍し、その後のシングルフィンロングボード界に与えた影響をうかがわせます。
彼らが当時から愛用していたボードは、「スタイリスト」が多く、その影響もあって日本での「スタイリスト」の大ブームにつながりました。2000年から2008年頃にかけては年間800本ほどのウェーバーのボードが日本でも売れていた時期で、その中でも「スタイリスト」は60%以上を占めていました。
「スタイリスト」の魅力は何といっても、60㎝の幅から繰り出される無敵のテイクオフです。
テイクオフが苦手な方はボードが横方向に揺れているためスピードに乗らないことが原因ですが、その理由はボード幅が狭かったり、ボトムがVEEまたはラウンドしていることによって横揺れが大きくなっていることです。これは多くのシェーパーは上級者であるためコントロールを重視していること、特にロングボードリバイバル当時から“オールラウンド”と呼ばれるサイドフィン付きのボードでボードをショートボードのように動かすことを重視していたためによります。
ところがウェーバーの「スタイリスト」は1967年にデザインされた当時のままのフラットボトムのためこの横揺れがまったく起きません。
それによってパドルを始めた瞬間から信じられないほどボードが加速します。特に日ごろパドル、テイクオフが苦手と感じている方は、本当に驚くはずです。
そしてテイクオフ後も重量による加速によってボードはさらに安定感を増すので、ターンのために余裕を持った体重移動ができ、想像以上にターンが簡単に感じます。
もちろん、日ごろテイクオフをまったく気にしない方にとっては余分の浮力と幅ですが、混雑したポイントでサーフィンする機会が多い方、海に行くのが週に1回かそれ以下の方、体重が75㎏以上ある方につきましては、まさに夢に見るような簡単、最速のテイクオフを実感できるボードです。
以前に比べ、ウェーバーからの仕入れ価格が高くなったため入荷数は減りましたが、その威力に変化や偽りはありません。
その「スタイリスト」の2つの欠点(幅が広くて持ちにくいこと、ハラ以上の波で横方向に滑るとき少しモッタリとした感じが出ること(小さい波では関係ありません))を改善したのが、上の写真から10数年を経たロビンキーガルです。
彼は「スタイリスト」の良さを知り尽くし、なおかつコンセプトブランドであるガトヘロイのシェープコンセプトも持ち合わせ、この「ファットキャット」を作ったわけです。
幅が広いことは決して欠点ばかりではなく、むしろ誰もが楽しめるイージーライディングを重視するには重要だと考えました。ただし彼は切れ味が鋭いボードが好きなので、ところどころに彼独特のシェープ理論が詰め込まれています。
全体的に抑えめのロッカー、ボランクロスによる重量感、微妙にラウンドしたボトム。これらはボードを自然に加速させること、加速したボードをコントロールしやすくすることに非常に有効で、幅の広さ、重量、長さを欠点ではなく長所に変えています。
ガトヘロイに乗る方ならすでにご存じですが、ロビンキーガルはまさに天才です。彼の「ファットキャット」もまた完璧です。
「ファットキャット」は「スタイリスト」同様に、テイクオフの苦手な方、コントロールが苦手な方、上達に悩んでいる方々にとって最高なのは言うまでもないのですが、それに加えて「ファットキャット」は中、上級者の皆様にもたくさんご愛用いただいているところがその性能を物語っています。
とにかく、どんなボードにしようかとお悩みなら、まずは「ファットキャット」がすべての悩みとストレスを解消してくれます。
皆様のご来店、お問い合わせお待ちしております。
シーコング藤沢店
田中
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