シーコング店長ブログ

シーコング各店より毎日お得な情報をお届けいたします。


f:id:SEAKONG:20181205180050j:plain

昨日より発売を開始しました、マテオとブリタニーの新作DVD"Concrete Connectors"ですが、すでに大変大勢の皆様からご注文をいただいております。本当にありがとうございます。




今から約7年前、雑誌『NALU』の取材の付き添いでカリフォルニアのサンオノフレに行ったときに初めて彼らに出会いました。もちろん名前や彼らの噂はよく耳にしていたのですが、すでに生まれ育ったマリブを離れ、スコーピオンベイというメキシコの砂漠の中にある完璧な波のあるすごく遠いところに住んでいると聞いていました。だから、まさか偶然会うとは思ってもみませんでした。

ロビーに紹介され、話を聞いてみると、「メキシコから戻ってきてるんだ。これ見てよ。このソーラーパネルを買うために戻ってきたんだ。俺たちが住んでいるところはまだ電気が通ってないんだ。車で40時間くらいかかっちゃったよ」


30センチ四方のソーラーパネルを買うために40時間、往復80時間も・・・生活用品すべてが詰まったようなおんぼろのバン、70年代からワープしてきたような服装(もちろん手作り)、そして一番驚いたのはそのメローな雰囲気。


「さあ、お茶でも飲んで行きなよ。ゆっくりくつろいで。ギターでも弾こうか・・・・ここに座っていると気持ちイイだろう」

混雑した週末の海には入らず、1日中ただ海のそばに車を停め、お茶を飲み海を眺めているだけでした。そして次の日の朝、私たちが再びサンオノフレに着いたときにはもう、メキシコに旅立っていました。


雲の上にいるようなふわふわした感じ。それが彼らとの始めての出会いの印象でした。




再開は2年後にやってきました。

その年の年末、あの有名な“クラークフォーム・ショック”が起こったのです。そうです、世界中のサーフボードの大半のブランクスを製造供給していたクラークフォーム社がある日突然その事業をストップしたのです。カリフォルニアのサーフインダストリーで働く者、そして私たちのようにサーフボードを販売している者にとってはまさに突然すべてを奪われたような一大事だったのです。

急遽、カリフォルニアに行くと絶望的な雰囲気が立ちこめ、あるものは仕事を辞め、あるものはスタイロフォームの加工方法の講習会などに参加していました。混乱した中、何とか今後の方針を決めた時、まだ2日間の余裕が残っていました。


そこでサウスベイバイシクルの展示会のパネルとTシャツに使用する絵を探しているとロビーに相談したところ、「じゃあマット・ハワードがいいよ。彼らは今もメキシコに住んでいるんだけど彼のアートは本物だよ。アレックすみたいな落書きとはわけが違うんだ(ごめん!)。今の自分達の世代のサーファーの原点はジョエルじゃなくてマットとブリタニーなんだ。彼らがシングルフィンロングボードを復活させ、ブラックスキンのウェットスーツ、8mmで撮影したフィルム、ジャズとのセッションはすべて彼らが始めたことなんだ。海から上がって絵を描いたり音楽をしたり、それもこれもすべて彼らの影響なんだ。しかも彼らは誰かの真似をしているんじゃなくて、すべて彼らのオリジナルのものを作ってるんだ。本物のヒッピーさ。早速連絡してみよう」ということになり、翌日、バハカリフォルニアのラパスという街で落ち合うことになりました。

風邪をひいていたロビーは行けないので代わりにクリスと二人で向かうことになりました。なぜ二人だったかと言うと、ロビーが「気をつけろよ。マットはすごく気が短くてほんのちょっとのことでも狂ってしまうんだ。そうなったらすべては終わりだよ。だからマリブを出て行ったんだ。マリブのこととかは絶対に話題にしちゃだめだ。トーマスの“ト”の字も言うなよ。写真も勝手に撮っちゃだめだ。絵を買うときも値切るなよ。値段の交渉はクリスにしてもらえ。もし何かあったら、二人とも帰って来れないかもしれないぞ」と脅されていたのです。


ということで急遽ラパスに向かうことになりました。私の帰国の日程の都合でラパスでの滞在時間は夜9時から翌日5時までの合計20時間。この時間内に4枚の絵を買ってくることになったのです。



ところが当日空港に行くとクリスのチケットが予約されていない、空きの席もないと告げられました。控えを持っていたのに「私は知らない」と言われてしまったのです。

すでにスコーピオンベイからラパスに向かっているマットとブリタニーは電話を持っていないので連絡の取りようがありません。これですっぽかしてしまったら“怒り”を買う前にすべてが終わってしまいます。

そうなってしまっては助っ人クリスが来た意味がありません。そこでクリスはカウンターの前で体調が悪いと言ってうずくまり、横になってしまったのです。最初は無視を決めていたエアロメキシカーナのスタッフもあまりの迫真の演技に降参し、「まもなく出発するマサトラン経由なら荷物置き場だけど2人なら確保できます。ただし窓はありませんから」と、とうとう搭乗をOKしてくれたのです。

「遅れてしまうけど大丈夫かなあ・・・でも行かないよりはましだよな」と二人で慰めあい、予定より早くロサンゼルスを飛び立ちました。

しかし物事はそう簡単に進まず、中継地のマサトランに着陸する寸前機内アナウンスが告げられました。「マサトランからラパスに乗り換えの皆様にお知らせします。出発時間が変更し、乗り換えの時間は約3分しかありません。皆様お急ぎください・・・・ええっつ、3分!?」


ダッシュで空港内を駆け、なんとか出発ぎりぎりにラパス行きの飛行機に間に合ったのです。ダッシュは20年ぶりでした。



連絡していなかった飛行機に乗ってなく、しかも30分くらい遅れてラパスに到着することになりました。

「いるかなあ?怒ってるかなぁ?・・・」とドキドキしながら出口に向かい、自動ドアが開いた瞬間、心配をよそに彼らは満面の笑顔で私たちを出迎えてくれたのです。

「Bienvenidos! Viva Mexico!(ようこそ!万歳メキシコ)」


ロビーの脅しとは裏腹に、それはそれは手厚くもてなしていただき、彼らの暖かさに心が和まされました。

早速、ホテルに向かいました。到着したそこはパティオ(中庭)にサルの死骸が吊るされ、部屋のペイントは虹色の超サイケデリックなホテルでした。

そして彼らの部屋に踏み入れた途端びっくりしました。確か昨日チェックインしたはずなのに、部屋にはミシンが持ち込まれそこで作られた洋服が部屋の壁を一杯にし、5本のサーフボードと一緒にタイヤのホイルやギター、ランプなど私物で一杯だったのです。しかも明日はチャックアウトなのに・・・

「絵を買いたいんだけど・・・」と私。

「それはうれしいよ。早速描き始めるよ。」

「えっつ?今から描くの?あるやつでいいんだけど・・」

「大丈夫。明日の出発前までに4枚ね。OK。じゃあ、君達はラパスの街を楽しんできなよ」と優しいお言葉。


そして、その時に描いてもらったのがこの4枚の絵です。




と、ここまで書いたところで、一体いつになったら肝心のDVD「コンクリート コネクターズ」の紹介ができるのかと自分でも心配になってきました。

これを機にマットとブリタニーとは仲良くなり、その後3回にわたってスコーピオンベイを訪れることになったのですが、あまりにも長くなりそうなので、機会があればまた書きます。


そのとき作ってもらったボードです。




さて、肝心のDVD「コンクリート コネクターズ」です。“さすが”の一言です。


Concrete Connectors   35分  \3,800-
伝説の『ファイン フロー』、『レット イット フロー』から15年余り、その後のロングボードシーンに多大な影響を与えた二人がメインステージに戻ってきました。
メキシコ、バハカリフォルニア半島スコーピオンベイの完璧な波を舞台にマテオと友人達がロングボードから5.2ftのフィッシュ、シングルフィンショートボード、アライアで魅了します。そのシルエットだけでも一目でそれとわかるブリタニーのしなやかで優雅でスタイリッシュなライディングは男性を凌駕し、すべての女性のお手本になるはずです。
全編を彩るバハカリフォルニアの風景、アニメーション、音楽が映像と景色の美しさを引き立てています。
そして彼らは“ランチョ オチョ”の作製にとりかかります・・・

彼らのすべてを納めた「コンクリート コネクターズ」を是非、お楽しみください。

「Concrete Connectors」のご注文


シーコング田中