藤沢店の田中です。
先月の話ですが、大阪店のお客様よりジョンペックの『ペネトレーター』のカスタムオーダーをいただきました。
私はまず77歳と高齢であるジョンペックがまだボードをシェープできるかということを確認する必要があると思い、ジョンにメールを送りました。
すると他ののんきで怠惰な若いシェーパー達とは違い、1時間もしないうちに「OK」の返事をもらいました。
そこでその方のオーダーシートを作っていたのですが、以前ペネトレーターを持っていたにもかかわらず、手放してしまったことを後悔していた私は、ついでに「シーコング用」として『ペネトレーター』をオーダーしようと思いつきました。
ジョンペックは1960年代に一世を風靡した当時のスーパースターサーファーです。
その風貌は現在とは大きく異なり筋肉質のたくましい体格で、しかも他のサーファーのようにサーファー然とせず、“モッズスタイル”のファッションに身を包んだ異色のサーファーで、その理由もあって大変な人気を博していました。
彼をさらに偉大なサーファーとして位置づけることになったのは、ご存じのとおり1963年の1月1日、あのパイプラインにレギュラーフッターとして初めて挑みメイクしたことです。
現在もパイプラインは特別なポイントとして世界のサーフィン界に君臨していますが、1963年当時はボードの質や形状もまったく異なっていて、当時の重くロッカーもレールにエッジもないボードであの巨大な波に挑むことは想像するに余りあります。
その後ジョンは、ベトナム戦争という時代背景の中、他の多くのサーファーやアーチスト同様にドラッグにのめり込み、それとともに彼の名声もかき消されていくことになりました。
そして1990年代へと時は過ぎ、ジョンは再びビーチに現れたのです。
しかしそのジョンの姿は往年のイメージとは大きく異なり、ヨガを取り入れたことによって精神と肉体の改造を図り、仙人のような姿になっていたのです。
2009年、成田空港にロビンキーガルを迎えに行ったその場所に神様ジョンペックは佇んでいました。
それ以来、縁をいただき交流を続けさせていただいていますが、やはり心配の一つは現在も自称ビッグウェーバーでありながらも77歳と高齢のジョンがあとどれだけの本数のボードをシェープすることができるのだろうということです。
そう考え、私はすぐにオーダーすることを思い立ったわけです。
そして昨日。
いつもよりガトヘロイやアンヒンジドをご愛用いただいているお客様が突然「ジョンペックにボードをオーダーしたいんだけど」と相談されました。
私は「先日、オーダーしたばかりだから大丈夫ですよ」と言ったところ、そのお客様は何と過去に1本だけ作ったことがある「アルティメット・ラージ・ウェイブ・ガン」というとてつもないボードをオーダーしたいと言うのです。
正直に申しますと、その時私は「やられたー」と思ったのです。
ジョンペックと言えば『ペネトレーター』が代表的ですが、彼の真骨頂はやはりビッグウェーバーです。
それを知っていれば『ペネトレーター』もいいけど、やっぱり超ビッグウェイブ用の『アルティメット・ラージ・ウェイブ・ガン』も真っ先にオーダーしとけばよかったと、思ったのです。
そしてすぐさまそのお客様の許可を得て、シーコング用のこの特別なボードを割り込んだのです。
半年後には藤沢店にて皆様にお披露目できそうです。
とても乗るためのボードとは言えませんが、現在もビッグウェイブに乗る世界に唯一一人の本物のレジェンドサーファー、神様ジョンペックのフルハンドシェープの特別ボードとなります。
ぜひその節は、新たな伝説となるであろうこのボードをご覧になりにいらしてください。
ちょっと気の早い話ですが、皆様のご来店をお待ちしております。
シーコング藤沢店
田中
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