藤沢店の田中です。
ロビンが楽しみにしていた桜も満開のピークを過ぎ、また台風3号も早々に東海上に遠ざかりそうですが、何はとも明日の火曜日にそのロビンキーガルが来日します。
16歳より20代の後半までは数え切れないほどの来日を果たしていましたが、拠点をカリフォルニアからフランスに移した後はなかなか調整が付けられなかったため、今回は久々の来日となります。
そのため、おそらく現在カリフォルニアで活動するどのシェーパーよりも未だに来日経験と日本のサーフシーンについてはよく知る男だということはあまり知られていないかも知れません。
また、彼の持つ2つのブランド、ガトヘロイとクリームが現在の日本のロングボードシーンにおいて最も販売本数の多いロングボードブランドだということについても知らない方がいらっしゃるかも知れません。
昨年はガトヘロイの入荷が少なかったため合わせて400本くらいだったのですが、それ以前は2つのブランドを合わせて毎年500本以上のボードが日本国内で販売されています。
彼のボードが多くの皆様を惹きつけるのは、単にボードの素晴らしさだけではなく、彼が他のシェーパーと違うステージにいることによってもたらされる総合的な別次元のオーラによるものだと私は思っています。
まず彼はサーフィンの技術が世界最高レベルです。彼のサーフィンのスタイルは好き嫌いに分かれます。力づくでボードをねじ伏せるようにボードをコントロールすることが多く、軽快、しなやか、リラックスとは程遠い、ダイナミックな動きをロビンは行います。
しかしそれは彼があえて意識して行っているからで、古くから彼に注目している方々はご存知のように、本来は小技やノーズライディングの技術もピカイチです。
それは、1960年代のランスカーソン、フィル・エドワーズなど彼が憧れるサーファーのライディングを見ると納得させられることでしょう。
次に彼のサーフボードに対しての見識の深さです。
彼は有名なシェーパーの息子ではありません。彼は自分の不遇な家庭環境から、そのことに関して大きな意味を感じていません。
また有名なファクトリーで働いていたこともありません。
それは彼にとっては作業の仕方を覚えるところであって、シェープの感性を養うところではないからです。
彼のサーフボードは1960年代の映像を観て、当時の本を読み、レジェンドのシェーパーに会って話を聞くことが基本に作られています。
それを自分なりに噛み砕き、シェープに注入していきます。
そして圧倒的な技術力を持つ自分のサーフィンによってテストを繰り返し、ボードの完成度を高めています。
一般的に仕事の早いシェーパーはマシンを使えば1日に8本以上、ハンドシェープでも3本のボードをシェープすることが可能です。
しかしロビンは1本1本のボードに対する執着、思い入れが深すぎるため、速くても2日に1本が限界です。
しかもあまりに根を詰めてシェープするため、精神的な回復を必要とするので、結局は1月に10本くらいしかボードを作ることができません。
それだけを見ると彼の生活は存続できないのですが、彼は弟子であるエバンにクリームブランドのボードを作らせているため、生活を持続することができるのです。
そのようなシステムを持たない一般的なシェーパーではマシンを使うか、ハンドシェープでもたくさんのボードを削るしか方法はありません。
ロビンのシェープしたボードを実際に見たことがある方ならおわかりですが、彼のボードは一般的なシェーパーがシェープしたボードとはまったく次元の違うレールフォイルを持っています。
ノーズからテールの先端まで単純な50/50のソフトレールの部分は存在しません。
すべてが3次元に変化し、繊細にそして完璧に仕上げられています。
彼のボードのデザイン、カラーリングも秀逸です。
もともとカラーの組み合わせにおいて類まれなる才能を持っているのですが、それは彼の育ての親が建築家とミサイル開発者ということも大きな影響を与えていると思います。
幼い頃から完成度の高い立体的な造形物とそれを彩る彩色を目にしてきた彼は、当然のように現実的な感性が備わっています。
そして彼のこだわりはストリンガーの性質とその材質とボードカラーのマッチングまで行き届いています。
だから彼のボードは誰が見ても美しく、そして機能的なのです。
彼は常に資金的に不足しているにもかかわらず、時間を制限して無理に多くのボードを作ったり、できの良いものであってもテストボードを高く売ったりはしません。
常に生活が破綻し、周囲に疎んじられながらも、我道を貫きます。
そんな孤高のシェーパーは彼をおいて他にありません。
そのロビンキーガルが来日します。
彼に会って、彼の片鱗を感じていただければ、彼の目指していることがちょっとわかるかも知れません。
今週末、堺、藤沢で行われるパーティは、誰でも自由に出入りできます。
多くの皆様に彼の感性を感じていただければ幸いです。
皆様のご来場、心よりお待ちしております。
なお、4月12日までの来日期間中の動向はできるだけツイッターでアップするようにいたしますので、ぜひ合わせてご注目ください。
シーコング藤沢店
田中