藤沢店の田中です。
カリフォルニアではロビンが相変わらず精力的にシェープを続けているようです。
まずは以前『キュイエール』と呼んでいたクリームのノーズライダーモデルをフランスから拠点をカリフォルニアに移動したことにより、再び『カリフォルニアン』とモデル名を変更しました。
まずプロトタイプとして4本シェープしたそうで、いつものようにその出来栄えには「シェープは信じられないほどすばらしい!」と自画自賛です。
さらにスムース・オペレーターのマイナーチェンジバージョン、遅れていたカスタムオーダーのボードもすべて完了したロビンは8月15日から12月中旬までの予定でフランスに向かいます。
フランスでの拠点は中村とともに掃除は終わっていますが、あらためてすべての機材や材料を揃えなければならないので、未だ前途多難ではありますが、ヨーロッパではすでにたくさんのオーダーが舞い込んできているので、彼は意気揚々です。
今や世界中に熱狂的なファンを持つロビンですが、先日届いたボードを見れば誰もが大いに納得するでしょう。
彼は古き良き時代のボードの中に「自分がシェープすればもっと良くなる」というものを見つけると、まずは比較的忠実にそのボードのプロトタイプをシェープします。
そしてそれをとことん乗り尽くしながら、改良点を見つけ、次のシェープにいかします。それを繰り返すことにより、彼の真骨頂であるスピードとダイナミックな動きが注入されます。
そうすると出来上がるボードは次々と繊細さが極まり、行き着くところは常に「ナイフのような究極のボード」となってしまうのです。
その「究極のボード」は決してユーザーの皆様の視点で作られたものではなく、自分自身のコンセプトを追求した結果に生まれたものなので、すべての方にお勧めのボードとはいかなくなるのも当然です。だからこそ素晴らしい作品といえるのですが・・・
浮力を求める方、小波でのサーフィンが多い方にはまさに「いつ使えばいいの?」となってしまうのですが、実際にそのボードを見て、手にしてしまったらそんなことはどうでも良くなるくらいの魔力を持ったボードです。
昨日も最新作のザーベルの噂を聞きつけ、わざわざ遠方からお客様がいらっしゃいました。
その方はご謙遜も交えてご自分が乗りこなす領域のボードではないとおっしゃっていましたが、ザーベルから溢れてくる圧倒的なオーラと作り上げられた物としての美しさに魅了されご購入を決定されました。
ロビンのボードとはそんなボードです。
破壊と創造を繰り返すロビンには今後も楽しみです。
ロビンとは入れ替わりにジャレッドは現在滞在中のオーストラリアから8月初旬にカリフォルニアに向かいます。
本人曰く、「現在は家族のためにメイドのように働いている」そうで、今回のカリフォルニアの滞在は4日間のみとなりそうです。
ジャレッドはご存じのとおり世界最高のサーファーの一人ですが、シェーパーとしての経歴はまだまだスタート地点といったところです。
彼のボードは彼がやりたいサーフィンを可能にするために作られたものなので、わかりやすくそのために必要な形状が肥大化されていると行った印象です。
細部に渡ってもロビンほどの繊細さはなく、カラーやデザインも彼のサーフィン同様に理解不能な異次元的なものもあるくらいです。
しかし、最初に彼のボードを購入した一部の方たちによってその評価と人気は爆発的に広がりました。
やはり「いいボードは優秀なサーファーによって作られる」というのは本当なのでしょう。
今回のカリフォルニアでの目的は、最初に1本だけ作られた「60'sクラシック」を再びシェープするためです。
このモデルはジャレッドが作った最初の5本の中の1本で、しかも日本に到着した時にはすでに使用感さえ漂っていました。
ジャレッドに聞くと「撮影に使用した」とあっさり認めたのですが、それ以上に奇抜なデザインで、しかも少し曲がっているようにも見えるボードを誰もが見過ごしていました。
しかし長年、いろいろなボードを乗り継いでこられたユーザーの方が「ちょっといいかも」と言ったのをきっかけに、周囲の押しもあり、その方の手に渡ることとなりました。
そして数日後、その方から連絡がありました。「数々のロングボードに乗ってきましたがこのボードが一番調子いいです。もう1本ほしいくらいです。やはりジャレッドは天才なんだと実感しました。スピードはガトヘロイのようです。その上スクープノーズの効果なのかノーズが半端ないくらいの安定感で驚いています。昨日6時間サーフィンしましたが、このボードは間違いなさそうです。周りからも調子良さそうとか格好いいボードとか声をかけていただきました。ジャレッドにお前は天才だと伝えてください!」
すかさず、ジャレッドに上記の感想を伝え、すぐに同じモデルを作るように頼んだのですが、帰ってきた答えは「ごめん、たまたま1本作って調子良さそうだったから撮影に使ったんだ。そのまま日本に送ったからなんのデータもテンプレートもないんだよ。幅や厚みはもちろん長さも覚えてないんだ」という悲しいものでした。
それからはジャレッドが日本に来た時にそのボードをお借りしたり、テンプレートを取り直したりをしていたわけですが、やっと準備が整ったため、今回のカリフォルニア行きとなったわけです。
長くなりましたが、現在の『ジャレッドメルモデル』、『ブギースペシャル』、『BKスタイル』に続き、4モデル目のリリースとなる『60'sクラシック』。入荷は9月ころになりますが、ジャレッドファンの皆様、ぜひ楽しみにお待ちください!
⇒現在の"Surf-A-Billy" by ジャレッドメルの在庫
シングルフィンロングボードの選び方は人それぞれです。
・・・もっとテイクオフが速くなりたい・・・
・・・ノーズライディングがした・・・
・・・もっと動かしたい・・・
ご自分が求めている性能を持ったボードや、やりたいことができる可能性が高いボードをご購入される方が多いのですが、車や洋服を選ぶように自分が欲しいものを選ぶ方も大変多くいらっしゃいます。
自分ではこのボードの持つ性能を発揮できないかも・・・
でも、格好いいから買っちゃった・・・
しかし、これこそがシングルフィンロングボードに乗る楽しみでもあります。
そもそもカリフォルニアでさえもテクノロジーとともに進化したサーフボード、特にショートボードは性能的に最も優れているボードと認識されています。
しかし多くの人々はそんなことには目も向けず、シングルフィンロングボードを手に取ります。
それは単に、ショートボードよりもたくさんの波に乗りやすいということだけではなく、「別にそんな動かしたりする必要ないじゃん」、「それよりも昔のスタイルのほうが格好いいと思うんだよね・・・」という理由なのです。
新しい服よりも昔のデザインの服のほうが好き。50年代、60年代のアメカジや当時の車が好きと同じ感覚です。
自由を謳歌するカリフォルニアには特にそのような自然体の人々が多いため、年令に関係なく必然的に“サーフィンやるなら当然シングルフィンロングボード”となるわけです。
クラブ活動のように練習を繰り返すショートボードに乗るより、ビーチに行って友達とダベリ、合間を見ては乗りやすい大きなロングボードでサーフィンをする。映画「ビッグ・ウェンズデー」のような生活を過ごしたい・・・それならば、選ぶボードも当時のようなもの・・・
そしてもう一つの選ぶ理由は誰が乗っているか?誰が削っているか?です。
彼らはサーファーとしてのライフスタイルにこだわればこだわるほど、身の回りから既製品を排除し、本物を身につけようとします。
大量生産品ではなく手作りのものを選ぶようになります。このような視点もスポーツというよりはファッションや車のカルチャーに似ています。
格好いいものというだけではなく、手にして嬉しいもの。
次の1本はそのように選んでみてはいかがでしょうか?
またそんなことを現在発売中の雑誌「Blue.」の巻頭特集にも書かせていただいておりますので、ぜひご覧ください。
シーコング藤沢店
田中
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