藤沢店の田中です。
先週金曜日、カリフォルニアから大量にボードが入荷したこともあって、週末は本当にたくさんのお客さまにご来店いただきました。
スタッフが足りず、十分にお話させていただくことができなかったお客様には大変ご迷惑をおかけいたしました。まことに申し訳ございませんでした。どうか懲りずにまたぜひお立ち寄りいただければと願っております。
入荷したボードはどれも素晴らしく、たくさんのご購入、ご予約をいただいておりますが、まだまだ店頭には超おすすめのボードも残っています。
そこで今日は個人的におすすめのボードをご紹介させていただきたいと思います。
まずは大注目の「エルモア」から『トラディショナルノーズライダー』です。
今回初入荷となった「エルモア」ですが、彼の性格そのものの真面目な仕事ぶりが伝わってくる大変きれいな仕上がりのボードです。
幼い頃からダノーのライダーとして活躍していた彼は重量のあるノーズライダータイプのボードを乗りこなすと同時に、スケートボードにも才能を発揮し、フィッシュのライディングにも技術が大きくいかされています。
『トラディショナルノーズライダー』
デヴィッド・ヌィーバのノーズライダーからインスパイアされた典型的なクラシックノーズライダーの系譜ですが、彼らしいモダンなテイストも注入されています。
一見した感じは同じデヴィッド・ヌィーバの系譜であるドナルドタカヤマの「モデルT」に似ていますが、テールよりのレールはクリームのキュイエールのような感じでもあります。
ボードはダノーほど重くはありませんが、キュイエールに比べれば重量感があります。
ノーズのコンケーブはデヴィッド・ヌィーバ同様に大きなものですが深さは抑えられ、ボードのプッシュ、失速が大きく起こらないように配慮されています。
ストリンガーはデヴィッド・ヌィーバによく使用されたTバンドストリンガーで、クラシックの定番であるサイドパネルのカラーリングを採用しています。
シェープの中身も、見た目、質感すべてが伝統に基づいているところは、ダノーの精神を受け継いでいるものですが、ダノー以上に正確なものづくりに徹していると言っても過言ではないと思います。
この点は、ロビンやジャレッドのようにもっと感性優先のシェープというよりは技術者的なリッチハーバーに似ているかもしれません。
遠目で見ても、いい仕事をしていると実感させるすばらしいボードです。
【フライドフィッシュ】
上記の『トラディショナルノーズライダー』同様に系譜を重視するトロイが自分の真骨頂でもあるフィッシュのベースに選んだのはスキップフライのフィッシュです。
一見、ごく一般的なレトロフィッシュに見えますが、ボトムのチャンネル、ノーズの厚みをもたせるイーグルノーズ、キールフィンの角度と大きさ
に至るまで一切の妥協が見受けられません。
テイクオフ時の浮力の維持、ボトム面の水切りの速さ、フェースを保持しながら切り返しの速いターンを可能にしています。
またストリンガーの選択については当時を忠実に踏襲し、リーシュストリングの取り付け部分も秀逸です。
続きまして、そのトロイの兄貴分でもあったジャレッドメルの「サーファビリー」から2モデルが入荷しましたのでご紹介させていただきます。
まず『ジャレッドメル』モデルです。
私のイチオシはこのボードです。
とにかくストリンガーが格好良く、見た目が最高です。
ボードのシェープはそれぞれ少しずつ違うのですが、このボードはノーズとテールが比較的薄めです。
かと言って浮力が足りないということではなく、テールよりの大きな幅がテイクオフを楽にし、彼独特のスタイルである「スイング」を容易にさせます。
段々と洗練されてきたジャレッドのボードですが、彼のボードはご購入者の方々の評判の良さに支えられています。
ジャレッド自信のファンである方はともかく、ほとんどの方がその乗りやすさの評判を聞きつけてボードをご購入されているところがわたしたちにとっても嬉しい驚きです。
ジャレッドは間違いなく現在世界最高のサーファーの一人ですが、そのことよりも私自身は彼の性格が大好きです。
だからこそ陰ながら彼をサポートし、そして協力して良いものを作っていこうと思っています。その期待に十分に答えてくれている大変格好いいボードです。
そのジャレッドが来日した時に、藤沢店の天井に飾ってある1966年製のハーバーのトラッセルスペシャルを見て感動してテンプレートを作成し、作ったのがこの『ブギースペシャル』です。
今回の入荷でこの『ブギースペシャル』も4本目となりましたが、こちらの方もシェープがかなり洗練されています。
先月のバハトリップにも持参しましたがボリュームはガトヘロイの『クラシックキラー』よりハーバーの『トラッセルスペシャル』に近く、ロッカーは抑えめのため『トラッセルスペシャル』よりも『クラシックキラー』に近くなっています。
あくまでもスピードを追求しながらも浮力が十分にあるので、彼らしい自由な雰囲気のライディングが楽しめるボードとなっています。
またデザインは伝統を意識しながらもそれに囚われすぎることがなく、彼らしいアバンギャルドなセンスが用いられています。
続きましてウェーバーの『パフォーマー』です。
私がオーダーしているパフォーマーはとっくに出来上がり、ウォーターマンズギルドのインスタグラムにもアップされているのですが、何故か今回も届きませんでした。
その代わりに届いたのがこの9.4ftの『パフォーマー』です。
その性能についてはすでに語る必要がないくらいのものですが、このボードのお勧めの点は、渋みのあるサイドカラーとゴールデンイエローティントのコントラストが素晴らしく、メッチャ格好いいことです。素敵すぎるほど、きれいです。もはやそれだけで、このボードは超おすすめです。
最後に、ソニー・ヴァードマンから『ジャッキーバクスター・グライダー』です。
ここのところウッドのトリプルストリンガーの仕様ばかりだったのですが、今回は『ジャッキーバクスター』と名付けたとおり、1960年代当時ソニー・ヴァードマンのライダーであったジャッキーバクスターの好んだストリンガーの復刻版です。
ウッドのストリンガーよりも若干軽量でボードがしなります。
現在、トレンドとして人気の高いグライダーを是非、その歴史的バックグラウンドとともに味わってみてください。
他にも、たくさんのボードがございます。ぜひ、その性能だけでなくシェーパーのバックグラウンドやそのボードのヒストリーにもご興味を持っていただければ幸いです。
そんなことにまつわることを現在発売中の雑誌「Blue.」にも書かせていただいていますので、こちらもぜひ本屋さんに駆け込んでください。
⇒Blue. (ブルー) 2017年8月号 Vol.66のご購入はこちらからもできます
シーコング藤沢店
田中