藤沢店の田中です。
「ダクトテープ」最終日のハプニングのさわりとローマからのブログを最後にその後のアップを怠っていました。大変申し訳ございません。
まず、その後の様子をご報告します。
「ガトバスク」のパーティの翌日、ダクトテープのセミファイナルおよびファイナルヒートが行われました。
●左から、ヒート前のアレックス、ジャレッド、タイラー・ウォーレン
●シェアウェーブした後ワイプアウトし、ボードの具合を確認するアレックスとジャレッド。「ダクトテープ」ならではです
●左から、ヒートを終えたジャレッド、アレックス、ジェームス・パーリー
セミファイナル第1ヒートは、アレックス、ジャレッド、マイキー、ジェームス・パーリー、第2ヒートはピックル、オリバー・パーカー、ハリソン・ローチ、他1名で行われました。
ファイナルはアレックス、ピックル、ジェームス、ハリソンで行われ、最終的に1位ハリソン、2位アレックス、3位ピックル、4位ジェームスとなりました。
今回で「ダクトテープ」の観戦は3回目になりますが、サンタクルーズの完璧なコンディションでの圧倒的な迫力、地元マリブでのお祭り騒ぎに比べビジター開催ということもあり少し遠慮がちだったようですが、古城の麓で行われる世界のスーパースターたちの競演は、地元のサーファーの目をくぎ付けにしていました。
フランスの大西洋側は波にも恵まれサーフィンはとても盛んなのですが、ロングボードに関して言えばまだ未知数で、ハイパフォーマンスのロングボードがちらほらと、または観光客がエポキシ製のボードに乗っているという感じです。
そこにVANSがスペインのサリナスも含め3回目のイベント開催ということもあり、地元のロングボーダーの意識は急速にシングルフィンロングボードに傾いています。特に本場カリフォルニアから移住してきたスーパースター、ロビーのボードは鼻が利く地元サーファーを虜にし、引く手あまたの状態となっています。まるでVANSのイベントがロビーの将来を強烈にプッシュしているようです。
大会で私の目を引いたのは、アレックス・ノスト、ジャレッド・メル、オリバー・パーカー、そしてロビーです。これはもちろんひいき目もあるのですが、この4人は他のサーファーとまったく違うスタイルのライディングをするからです。
出場する他のサーファーはフルレールでの美しいターン、完璧なノーズライディングを繰り広げるのですが、やはり今でも“ジョエルっぽい”という印象を受けました。
ジャレッドとオリバーは見事なスィッチスタンスで会場を沸かし、アレックスはいつも通りラディカルに、そしてロビーはランス・カーソン以来と言われる強力な脚力で超重量級のボードをアグレッシブにコントロールします。アレックスを除く3人はコンテストのポイントのためのサーフィンではなく強烈に個性をアピールしているようで、ロングボードの持つ楽しさと奥深さを堪能させてくれました。まさに個性的なサーファーがより個性を発揮する場であったようです・・・あくまでも個人的な感想ですが
それでも観衆の盛り上がりもあって30分のヒートがあっという間に終わってしまい、もっと観ていたいと思うほど素晴らしかったのは言うまでもありません(この模様は現在編集中です。近日中に無料DVDとしてお配りする予定ですのでご期待ください)
私は連日の深酒でカメラのファインダーをのぞくと景色がぐるぐると回って、こっそり吐いてしまうほど疲れていたため、表彰式の間一度家に帰り、休息をとりロビーとの夕食の待ち合わせに行きました。
「ダクトテープ」の表彰式が行われていたころ、私たちはガトバスクの3人、イタリアからの4人、ニューヨークのヤタ他総勢13人で一緒に近くのモロッコ料理レストランでロビーの到着を待っていました。
ロビーが「表彰式をすぐに抜け出してくるから、皆で懐かしいモロッコ料理を食べよう」と言っていたからです。
どうやらこの時点でロビーは私が翌日からローマに行ってそのまま戻ってこないと思っていたようです。だから最後のディナーを一緒にして、ちょっと仕事の話(ボードや今後のサーフトリップなど)をしようと思っていたようです。
そんな時、フレンチ人ギュエムの電話が鳴りました。電話の主は同じく大会に出場し表彰式の会場にいるフランス人のトラビスからでした。
「ロビーがオリバー・パーカーとけんかをしているらしい」
「昨夜まで大変楽しそうにしていた二人がなぐり合っているらしい、しかも表彰式の場で。怒ったジョエルは冷静にならないロビーの首を絞め、外につまみ出したらしい」と、ギュエムが言うと、一同騒然となりました・・・・というのが普通ですが、ロビーとの付き合いが長い私たち一同は、ただ「へーっ。じゃあ、もうすぐ来るね」という具合に落ち着いたものでした。
オリバー・パーカーはカリフォルニアサンタバーバラを代表するロングボーダーで、ロビーやアレックスらと同様に子供のころからその名前と才能は広く知られていました。
ロビーとも『ロングボードマガジン』の取材をかねてニカラグアのジャングルリーフ、コスタリカなどトリップを共にした仲です。ノーズライディングだけでなくレギュラーもグーフィーも同じように乗れるためスィッチスタンスの名手でもあり、「ダクトテープ」への招待も今回だけではありません。
ちょっと変わっているところと言えば、他のカリフォルニアサーファー達とまったくからんで行動しないことです。今回もなぜか初対面の私たちやガトヘロイのイタリアのチームと気が合い、ちょくちょく一緒に食事をし、特にその中のイタリア人の女性を臨時の彼女に仕立てて遊び回っているようでした。どう見ても大会に来ているというより、“一人でアメリカから遊びに来ている観光客”というのがぴったりな感じでした。
ただし“悪童”としても知られており、ロビーは以前から「あいつは一匹狼の危ない奴だ」と盛んに言っていたので、私の中でも、「何が危ないかわからず」要注意人物として意識していました。いったい何があったんでしょう??
そこに主役の登場です。
「FU●K! FU●K!」と言いながら、興奮した様子で席に着くロビー。そんな様子を初めて間近で見てオドオドとしてロビーの声をかけることもできず、ただ自分を落ち着かせようとする19歳の新しい彼女のファリエル。と同時に「またか」という感じでうんざりとロビーを見つめる13人。
「オリバーとケンカしたんだって?」
「くそーっ、だからカリフォルニアの×▲◎×▲◎・・・」。
どうやらオリバーが「俺もみんなと一緒に飯食いに行くよ」と言ったところ、前述のように今夜が私との最後の晩餐だと思ったロビーは関係ない奴が増えると大事な話ができないと思ったらしく「駄目だよ今夜は」と言ったところ、オリバーが「いいじゃねえか。俺も行くよ」と言い返し、
「ダメだよ」
「行くよ」
の押し問答の挙句、オリバーが突然、ロビーの胸を突き飛ばし、それに怒ったロビーが近くにあったワインボトルで反撃し、乱闘になったようです。
まったく子供のケンカ並みの低レベルな騒動です。ばかばかしくてその後の顛末を聞く気にもなれず、どうせそんなことだろうと思ってた私たちはすぐさまそんなことは忘れ、モロッコを思い出しながらモロッコ料理に舌鼓を打っていました。
実は今回はシーコングのお客様がお一人同行されていたのですが、まるで映画「ビッグウェンズデー」の場面を地で行くようなシーンを目の当たりに、これぞ“サーフィンカルチャー”と感激されておられました。
それに、「まさかあんな大事な場で、しかも今回は新天地の地元代表のような形で出場し、この「ダクトテープ」が今後のロビーのフランスでの活躍を後押しする大舞台のような場なのに、すべてをぶち壊してしまうとは信じられない」とロビーの想像以上の破天荒さに驚いていました。
しかし私は、ロビーの“破壊王”としてフランスでもその名を馳せるための面目躍如であったのではないかと密かに思っていました・・・
※何はともあれ、私たちがローマに旅立った翌日の夕食にはオリバーも現れ、ロビーもまったく普通に笑いながら接していたというので、カリフォルニアの子供のケンカにご心配は無用です。
その後は、一同、VANSの新作「Get-N Classic Vol.2」のプレミア上映会場に移り、迫力のある映像を堪能し、夜は更けていきました・・・・・
●面白かったです!⇒動画を観る
・・・・続く
シーコング田中