旅の様子2日目
昨夜は街からはだいぶ離れた海沿いのペンションに泊まったのですが、自分の車に寝る予定だったフランス人のカップルの車が故障してしまったため、部屋数が足りなくなり、結局クリスとロビーの部屋に3人で寝ることになりました。すでにクリスとはパリを含めて9日間も同部屋なので違和感はないのですが、ロビーと一緒になると何をしでかすかわからず安眠することができません。この夜も気がついたときには布団の上にサーフボードを乗せられていました。
●前夜の夕食(左手前より時計回りで、モロッコパン、ポテトの和え物、いわしのミートボール、トマト・ピーマン・玉ねぎのサラダ)
夜が明けてみるとそこはまさにオンザビーチ!すぐさま海にと思いきや、南に下ったところがよさそうだから行ってみようということでオンロードを約2時間、オフロードを1時間かけて無名のポイントにたどり着きました。
●途中、何度も牛や羊の群れに邪魔をされ(たまにらくだも・・・)
風はオフショア、サイズは頭から頭半のパワフルな波で、リーフブレイクです。距離にして大体200〜300メートルくらいのライディングになります。
●パワフルで浅いリーフブレイクが目の前に(ちょっと危険ですが・・・)
ロビーは「まさにこれがこの旅に求めていた波だ!」とはしゃぎまくり、一目散で海に入っていきました。
使用ボードはロビーが9.0ftの『ジャングルアシッド』、クリスは7.11ftの『ジャングルRPG』、フランス人シェーパーのギエムは9.5ftの『ジャングルアシッド』、今回のラバトのホテルの経営者ファミリーの娘婿であり、以前、映画プロデューサーとしてカリフォルニアに住んでいた頃ロビーと知り合い、この旅のツアーガイドを紹介してくれたフランス人のピエールは10.3ftの『ピンクパンサー』、ニューヨークのモントークで夏の間だけサーフショップを営む写真家のヤンは9.4ftの『レインボーライダー』、ノースカロライナから参加したミュージシャンでありフィルマーのブラッドフォードは8.2ft『スペースピグ』という選択。どれもレールの薄い高速系のボードで今回初のスーパーウェイブを満喫しました。
●『レインボーライダー(そんな名前のモデルがあるとは知りませんでした)』にワックスを塗るヤン
特にロビーの乗っていた『ジャングルアシッド』は丸みを帯びているアウトラインにもかかわらずフラットなロッカーと研ぎ澄まされたレールによって短いながらもスピード性は抜群で、高速でのレールの切り替えとボードの前部分でのトリムが心地よさそうでした。
と、ここでまたしてもハプニング発生!ブラッドフォードがインサイドでワイプアウトし、ボードを鋭くえぐられた崖の内部に吸い込まれボードが一瞬で粉砕されてしまいました。これが人間だったらどうなるんだろうという勢いで、実が震えるほどでした。
落ち込んでいるブラッドフォードをよそに、2ラウンド目はポイントとポイントの境にあるパーフェクトなレギュラーブレイク。ここはボトムがサンドでサイズがワンサイズ小さいため、もっと“ログ”を楽しもうということでロビーは9.5ftの『ダガー』、クリスは9.0ftのこの旅のコンセプトボードの一つである『キラーサン』を使用。
今回の旅で切れ味抜群のライディングを見せるクリスはもの凄いスピードで波の上を自由に駆け巡り、それに負けじと随所で魅せるロビーの深いボトムターンとチューブライディングの競演は撮影していても大変楽しいものとなりました。
ここでクリスの使用していた『キラーサン』についてご説明いたします。
★キラーサン
9ftのスクエアテールモデル。ボードの最大幅のポイントが中心より前にあり、ボトム面は全体的に浅いロールボトムになっています。レール形状はすごく薄い“ローレール”になっています。他のボードと同様にロッカーは少なめで、ボードの中心より前でのトリム、レールtoレールの高速コントロールを楽しめます。
また、これも今回の『ジャングルアシッド』などと同様に、フィンのセッティングが通常より少し前方にあるため、ボードの前方でトリムをしながらもターンをスムースに行うことができます。
2ラウンド目を終了し、1時間ほど車で走ったところに小さな海辺のローカルリゾートのようなところがあり、そこで昼食を摂りました。
●昼食に食べたカフィタというモロッコ料理(モロッコはどこで何を食べても美味しいです!)
さて戻ってもう一ラウンドという時になって、ヤンがらくだに乗りたい、ピエールは馬に乗りたいと言い出しました。
「早くしろよ、とっとと行って来い!」と不満がどよめく中、ヤンはのんびりとらくだに揺られ・・・と、ここまではよかったのですが、調子に乗ったピエールが馬の腹を蹴った途端馬が飛び上がり、ピエールを振り落としてしまいました。一瞬にして地上に叩きつけられ、しばし失神。やっと起き上がったピエールのわき腹はすでに紫褐色と変色し、その後数日間はサーフィンどころではなくなってしまいました。
その後、午前中のポイントに戻り陽が落ちるまで撮影をしました。
さえぎるものはなく大西洋に沈む夕日を見ながら、“遠いところに来たなあ”と感動が沸いてきました。
この日も予定しているキャンプ地の足元が悪いということで昨夜と同じ海辺のペンションまで戻りました。
●夕食はデーツとライスの和え物、野菜サラダ、フライドチキン
明日は、ライディングの動画をアップする予定です。
田中